「無機凝集剤とよく聞くけれど、何かよく分からない…。」と思っている人も多いのではないでしょうか。
排水処理では無機凝集剤が重要な役割を担っています。
本記事では無機凝集剤の概要や用途、種類などを詳しく解説します。
無機凝集剤に代わる「粉末一剤型凝集剤」についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
無機凝集剤とは?
無機凝集剤は、その名のとおり無機物(=炭素を含まない)の凝集剤です。
排水処理における役割と特徴を知ることで、無機凝集剤が何かわかるようになります。
本章で簡単に確認していきましょう。
凝結作用を起こす際に使われる薬品
無機凝集剤は水の中の汚れを集合させて、微細フロックを作ります。これが「凝結作用」です。
排水処理は凝結→凝集の2段階が基本です。
無機凝集剤は第1段階で使用する薬品だと覚えておくと、わかりやすいでしょう。
プラスの電荷を持っている
一般的に水の中の汚れはマイナスの電荷を持っており、汚れ同士が反発して散らばっている状態です。
無機凝集剤はプラスの電荷を持っているため、汚れた水に投入すると、マイナスの電荷を持っている汚れを中和できます。
この中和作用により、水に散らばった汚れを集められるのです。
無機凝集剤の種類
排水処理の第1段階で使用される無機凝集剤は、数多くの種類があります。
最も有名なのが、PAC(ポリ塩化アルミニウム)です。
本章では、PACを中心に無機凝集剤の代表的な種類を紹介します。
PAC(ポリ塩化アルミニウム)
PACは水道水にも使用されている有名な無機凝集剤です。
PACを含む多くの無機凝集剤は酸性の薬品のため、水中に投入するとpHが下がります。
pHの下がりにくさを表すのが塩基度です。塩基度が低ければ、pHは下がりやすくなります。
PACは塩基度が50%です。
他の無機凝集剤と比較すると、pHが下がりにくいため、その後の調整が少なく済むのが特徴だと言えるでしょう。
硫酸アルミニウム
硫酸アルミニウムは別名硫酸バンドとも呼ばれ、PACと並ぶ代表的な無機凝集剤です。
塩基度は0%であり、PACよりpH降下しやすくなります。
懸濁物質(SS)の除去に効果があるため、排水処理全般で使用されています。
生成されるフロックが小さく軽いのが特徴です。
塩化第二鉄
エッチング処理など電子工業分野で使われる塩化第二鉄も、無機凝集剤として使用できます。
強酸性と腐食性がある薬品で、塩基度は0です。
水中に入れると一気にpHが下がるため、アルカリ剤が必須となります。
脱臭や脱色効果が得られやすい一方で、配管や設備が腐食しやすいのが欠点です。
ポリ硫酸第二鉄
ポリ硫酸第二鉄は別名ポリ鉄とも呼ばれます。
塩基度は10~20%程度で、塩化第二鉄と比べて腐食性も低いため、
無機凝集剤としての採用が増えています。
消石灰
鉄系、アルミ系以外の無機凝集剤では、消石灰が有名です。
水酸化カルシウムのことであり、酸性を示す他の無機凝集剤とは異なり、強アルカリ性となります。
そのため、中和剤として使わることが多いですが、
プラスの電荷を持つカルシウムイオンが凝結作用を起こします。
無機凝集剤に変わる粉末一剤型凝集剤
無機凝集剤には多くの種類があり、選定が難しいと思う人も多いでしょう。
排水のpHによって薬品を選定する必要があり、その後の中和処理が必要になるケースが非常に多いです。
薬品の管理を楽にしたいとお考えの方は、粉末一剤型凝集剤を検討してみてください。
本章で詳しく解説します。
粉末一剤型凝集剤とは
粉末一剤型凝集剤は、無機凝集剤と有機凝集剤を合わせた、リンスインシャンプーのような凝集剤です。
排水処理の凝結→凝集という2ステップを1つの薬品で対応できます。
複数の薬品を管理する必要がなく、現場の作業を軽減可能です。
中和剤が不要で作業が楽になる
ご紹介したとおり、無機凝集剤を使うと、水のpHが下がります。
そのため、中和剤を使ってpHを戻す作業が必要です。
中和剤は苛性ソーダや希硫酸が主流となります。
劇物のため、取扱いに注意が必要です。
粉末一剤型凝集剤を使えば、劇物の中和剤が不要となり、安全に作業できます。
小規模排水処理で効果を発揮する
粉末一剤型凝集剤は、10㎥/日以下の小規模排水での使用がおすすめです。
もちろん大規模排水でも凝集処理は可能ですが、投入量が増えるため、コストメリットが小さくなります。
小規模排水の現場であれば、粉末一剤型凝集剤を採用することで、大幅に改善できる可能性があります。
まとめ
無機凝集剤には多くの種類があり、排水の種類やpHを考慮しての選定が必要です。
中和剤など複数の薬品が必要となり、管理が大変になる可能性もあります。
ネクストリーの粉末一剤型凝集剤を使えば、薬品1つで処理が可能です。
作業性が劇的に改善する可能性もあるでしょう。
粉末一剤型凝集剤が気になる方は、お気軽に下記よりお問い合わせください。