凝集剤とは

凝集剤ってなんだろう?凝集処理の流れと 無機凝集剤と高分子凝集剤の使い方

私たちの生活にかかせない

工場などで大量に使われた水は川に流したり再利用するのですが、環境のことを考えるともちろん汚れた水を流すことはできません。そんな時に凝集剤が登場します。 

聞き慣れない単語だと思いますが、みなさんにもっと凝集剤について知っていただくために、いくつかの記事に分けて説明していきたいと思います。

今回は、凝集剤の基本的なことをご説明します。

─ そもそも凝集剤ってなに?

凝集剤というのは簡単に言うと「濁った水を綺麗にする薬剤」です。

凝集処理では
①凝結作用のための薬品(無機凝集剤)
②Phの調整をする中和剤
③凝集作用のための薬品(高分子凝集剤)
を必要とします。

例えば、コーヒーのような黒い水があるとします。その中には黒い色を出している目に見えない小さな粒(微細粒子)が分散して浮遊していて、それが見えるので黒い水は黒く見えるんです。凝集剤をこの水に入れると、その黒い微細粒子が集まって大きくなり沈殿させてくれて、綺麗な水を抽出することができます。この作用についてもう少し詳細に話しますと、黒い粒が底に沈むまでに、凝結作用凝集作用という2つの作用が働いていると表現することができます。

そもそもなぜ、微細粒子と水が最初から分離していないのかと言うと、この微細粒子がマイナスに帯電していて、微細粒子同士で反発し合っているからです。そのため微細粒子はそれぞれが小さいまま水の中を浮遊しています。

凝結作用は、マイナスに帯電している微細粒子と、プラスに帯電している凝集剤が結びつく作用です。肉眼で認識できなかった粒子ですが、凝視で認識できるくらいに少し大きくなります。(この時できた粒を、基礎フロックと言います)

凝結作用のための薬品には、PACや硫酸アルミニウムの他にも鉄をベースにした塩化第二鉄、硫酸第一鉄などもあります。凝集処理をする汚れた水との相性をみて、どの薬品を使うのかを選定します。この金属を凝集させるためには鉄がいいだとか、コメのとぎ汁だったらアルミのほうがいいかな等、くっつけないといけない物質によって得意不得意があります。
例えば塩化第二鉄は重たいので沈殿しやすいのですが、Phが1あるかないかなので、強い酸性になってしまいます。それで中和剤が大量に必要になったりするのです。

凝集作用は、凝結作用で少し大きくなった微細粒子同士をまた更に結びつけて、沈殿するくらいに大きくする作用です。肉眼で粒々がはっきりわかる大きさで、1〜3mmくらいになります。(この時できた粒を、粗大フロックと言います)

凝集作用のための薬品=高分子凝集剤(ポリマー)は、接着剤のようなもので、①で凝結した粒を更にひっつけて大きい粒にします。プラスに帯電してるもの、マイナスに帯電しているもの、両性であるものなど分かれていて、細かく分けると100種類程度あります。凝集したい物質によって使うものを選びます。
企業様から、凝集の際に沈殿が悪いという相談がくることがありますが、このポリマーが物質に合っていないことがほとんどです。これを凝集不良と言いますが、ポリマーを変えてあげると、粒が大きくなって上手く沈殿するようになったりします。

凝集剤は凝結作用と凝集作用を水に色をつけている粒子に作用させて、肉眼で見えるレベルまで粒子を集めて沈殿させて、上積みの綺麗な水を取り出すための薬剤なんです。

以上の3つを使って凝集処理をしていますが、弊社の製品「アクアネイチャー」はこの3つを1つにまとめたものです。リンスインシャンプーのようなものですね。1つにまとまっているので、手っ取り早く処理をしたいという時に使っていただいています。

フロックのイラスト

─ 凝集剤って何に使うの?

我々が凝集剤を使う主な目的は、物を作るために使った水を、皆さんが再び使えるように綺麗にして流すことです。
例えば、お米を洗うと水が濁って白いとぎ汁になりますよね。家庭では濁ったままの状態で下水に流しているところがほとんどだと思いますが、工場ではそうもいかないのです。
弊社のある富山県に、鱒寿司を製造する工場があります。その工場ではお米を洗った後、なんと、毎日50トンほどの大量のとぎ汁が出ます。環境のことを考えると、そんな大量の汚れた水を家庭のようにそのまま流すなんてことできませんよね。
というように、そのままの汚れた水だと行き場所に困ってしまうので、綺麗な水にするために凝集剤を使う凝集処理が必要となります。凝集処理によってとぎ汁の白い部分が沈殿し透明な水が出てくるので、沈殿した部分は取り除き、透明になった水を更にいくつかのプロセスを通した後に川や下水処理場に流したり再利用したりします。

─ どういう企業に使われているのか?

凝集剤は何かを製造・加工する際に水を利用しているとても多くの工業会社様で利用されています。

弊社が取引をしている企業様の例をご紹介します。

まずは、ガラス加工の企業様。
富山県ではガラス加工業が盛んですが、製造の際に出てくる削ったガラスの粉を水で流しているため、その水を凝集処理で綺麗な水にしています。

次に、建築会社様。
壁面などに塗料を塗る刷毛を何度も洗います。その水にも凝集剤を使っています。

あとは浄水場や下水処理場でも使われていますし、雨が降った時に山から川に流れてしまう泥水を綺麗にするためにも使われます。(川に到達する前の水を塞き止め凝集処理し、綺麗にしてから川に流します。)その川には魚のアユが生息していたりするので、凝集処理によって魚たちが守られますね。

1回の現場のみでの使用や、工場での継続的に使用するなど様々ですが、弊社では500〜600社ほどの企業様と取引をしていて、他にも使用例はたくさんあります。物づくりで水を大量に使っているようなところは、ほぼ凝集剤を使っているのではないかと思います。

─ 凝集剤は環境に悪くない?

凝集剤は化学薬品のイメージがあり、環境に悪いと思われがちです。環境のために水を綺麗にする凝集処理ですが、「そもそも凝集剤は環境に悪くないのか?」と質問されることも多いです。特に凝集処理後の水を川に流すこともあるので、「川の生態系は大丈夫なのか?」という心配の声もあります。そこで凝集剤の安全性をテストするために、魚類毒性試験というものを受けています。魚類毒性試験とは、生きた魚が入った水に凝集剤を入れ続け、どのくらいの数の魚が死ぬか、という内容のものです。

なぜ凝集剤によって魚が死ぬのか?
凝集は粒と粒を引っ付けますが、そのために凝集剤には接着剤のような役割をするものが入っています。その接着剤の量が多いと、魚のエラなどに挟まり死んでしまいます。

弊社の製品「無機系凝集剤アクアネイチャー」は魚類毒性試験をパスしています。水量に対して1%のアクアネイチャーを入れても、全ての魚が生き残りました。土木工事などで発生する泥水の処理に弊社の製品がよく採用されているのですが、これらの水は川に流すことがほとんどなので、魚類毒性試験をパスしていると安心して使うことができますよね。

─ 無機凝集剤の使い方

まずは、フロック(浮遊物)を凝結させるための薬剤である無機凝集剤(PAC、硫酸バンド、塩化第二鉄など)の使い方です。

排水処理装置には、バッチ式連続式と大きく分けて2つの方式があります。バッチ式とは一つの水槽に一定量の水を溜め、そこに処理に必要な薬剤を入れて処理を行い排出。これらを一回ずつ行っていく方式です。処理量としては、例えば1回の処理で1トンの排水処理が出来るとすれば、それを1日3回(3バッチ)行うと1トン×3バッチで3トン/日となります。

連続式とは水槽に一定の割合で連続的に水が流入し、流入量に合わせて必要な薬剤も連続的に注入していく処理方法です。例えば水槽の容量が500Lに対して1時間に1トン送水出来るポンプで水を送ると30分で500Lの水槽は満水になります。その後も水は連続的に流入しますがそれ以降の水はオーバーフローして(溢れ出して)次の水槽へ送られます。処理量は1時間に1トンの処理が出来るので8時間連続運転を行えば1トン×8時間で8トン/日となります。

バッチ式は比較的に排水量の少ない現場で、連続式は排水量の多い現場で使用されます。

無機凝集剤の多くは液体品(リキッドタイプ)です。連続式の場合タンクに入った無機凝集剤を薬注ポンプで吸い上げをし、水が入り続けている水槽にポタポタ落としていくイメージです。1時間当りに入ってくる水の量に合わせて必要な薬剤量が決まりそれをポンプのダイヤルで調整して打ち込んでいきます。「水が入る+薬剤が落ちる」を続けていきます。そして同じ水槽もしくは隣の水槽でPhの調整をします。そこにも同じく硫酸や苛性ソーダのタンクがあるので、それも薬注ポンプで水槽に落としていきます。

このように、水の量に応じて凝集剤を落とし、Phの調整をするというのが無機凝集剤の一般的な使い方です。

─ 高分子凝集剤の使い方

次は、フロッグを大きくする接着剤の役割となる高分子凝集剤の使い方です。

高分子凝集剤は元々パウダーです。まず自動溶解装置という装置を使って、そのパウダーを溶かしていきます。パウダーを落とす機械が水槽の上に乗っているので、そこからパウダーを落としていき、30分~1時間水の中で攪拌を続けます。そうすると、だんだんとろみのある液体になっていきます。

あとは、無機凝集剤と同様にその液体にまた薬注ポンプを差して、一定間隔で水槽にたらす、というのが高分子凝集剤の使い方です。

─ 単一薬剤による凝集処理のメリットとデメリットについて

以上が一般的な凝集処理ですが、多くの場合4〜5つの薬剤をそれぞれ個別に使う形で利用されることが多いです。すると各薬剤用の水槽と装置・薬注ポンプも4台ほど必要で、設置スペースや設備投資、ポンプのメンテナンス費用などが課題となります。

弊社の製品である「アクアネイチャー」のように単一薬剤を使うとそのような課題がクリアされることが多く、今まで多くの企業の方に喜んでいただきました。

簡単にですが、以下に単一薬剤で凝集処理を行うメリットとデメリットを記載します。

[メリット]
・溶かさずパウダーそのままで水槽へ入れることができる。
・そのまま入れるので薬注ポンプが必要ない。
・貯蔵するタンクが必要ない。

[デメリット]
・湿気に弱いため、管理する際注意が必要。
・パウダーなので強く撹拌する必要がある。

単一薬剤の凝集処理では水槽へパウダーを落とすための機械だけあれば処理を行うことができるので、非常にシンプルになります。上記のようなデメリットもありますが、一般的な凝集処理での問題が多く解決できると自負しております!

─ 最後に

最後に、凝集剤を使う際の注意点をあげますと、PACなどPhが低く酸が強い薬剤もあるので肌に触れないようにするということです。手袋、ゴーグル、マスクを着用して薬剤を扱います。各製品の取り扱い上の注意を読んで、使用していただきたいと思います。

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