工場で食品を製造する過程で発生するさまざまな廃水を処理しないと、BODなどの排水基準値を満たしていない排水を放流する可能性があります。
トラブルを防ぐためにも、食品工場排水の特徴を理解したうえで適切な処理が必要です。
本記事では食品工場排水の特徴や処理方法についてわかりやすく解説して、実際にネクストリーで対応した事例を紹介します。
食品工場排水の処理にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
食品工場排水の特徴
食品工場排水の主な特徴は以下の2つです。
- 油分が多量に含まれている
- 主に有機物で構成されている
食品を調理・加工する工程では多量の油を使用するケースが多いため、当然ながら廃水にも油が多く含まれます。
また野菜の皮や果肉、肉や魚のくずなどほぼ有機物で構成されるのが特徴です。
有機物を多く含んだ排水処理は凝集剤などの薬品を使った処理ができません。
そのため、食品工場廃水は次項で解説する「生物処理」が必須となります。
食品工場排水の処理方法
食品工場排水はほぼ有機物で構成されているため、基本的には生物処理が必須です。
しかし、多量の油を含んだ状態のままでは、微生物の働きが阻害されてしまうため、前処理で油を除去する必要があります。
グリストラップや浮上分離法など油分を除去する方法も含めて、食品工場排水の処理方法について確認していきましょう。
グリストラップ
グリストラップは廃水中の油分や野菜くずなどを捕捉するための設備で、以下の仕組みが一般的です。
- 網によるバスケットで残飯やくずを捕捉
- 仕切り板で水と油を分離させる(油の浮上する性質を利用)
廃水がグリストラップに流れると、油や脂肪は浮力で浮き上がり、水だけが下を流れていくイメージです。
浮上分離法
浮上分離法は処理装置で水より比重が軽い油分を浮かび上がらせる方法です。
原理はグリストラップと同様ですが、処理装置にマイクロバブルなどの気泡を加えることから、別名加圧式浮上分離法とも呼ばれます。
グリストラップよりすばやく油分を処理できますが、気泡を送り込む処理装置が別途必要です。
生物処理
生物処理は、有機物を微生物によって分解・除去する方法です。
自然界に存在する微生物を活用するため、環境負荷が少なくて済みます。
BODが多く含まれる食品排水を河川へ放流できるレベルにするには生物処理が必須です。
1日に100トンや1,000トンレベルの排水量がある食品工場では、生物処理しか選択肢がないと言っても過言ではありません。
微生物を活用する生物処理では、微生物が効率的に活動できる環境を整えることが大切です。
そのため、前処理で排水の油分を除去する必要があります。
吸着法
吸着法は活性炭などの吸着剤を充填した層に、廃水を通してBODやCODを除去する方法です。
BODやCODの値が10,000mg/L以下であれば、吸着法と凝集処理の組み合わせで食品工場排水を処理できる可能性があります。
ただし吸着剤は消耗品であるため、ろ過する廃水の状態によってはすぐに目詰まりするかもしれません。
生物処理と同様に、グリストラップなどでの前処理が必須だといえるでしょう。
食品排水を処理した事例
多量の排水量である食品工場では生物処理が必須ですが、条件によっては凝集剤での排水処理が可能です。
ネクストリーでは過去に油を含んだ食品洗浄排水を処理した事例があります。
ご依頼のあったお客様では収集運搬に使用するパッカー車を毎日洗浄していました。
洗浄時に油を含んだ食品廃水が出るため、グリストラップと浄化槽で処理していましたが、十分に油分の低減ができないと悩まれていた事例です。
廃水の凝集処理テストを繰り返して適切な薬剤を選定して、凝集沈殿法に処理フローを見直したところ、ノルマルヘキサン抽出物質とpHの水質基準をクリアできました。
詳しくは以下で紹介していますので、ぜひご覧ください。
食品工場排水の処理はネクストリーにご相談を!
食品工場排水の処理は基本的に生物処理が一般的ですが、事例で見たとおり、条件によっては凝集処理で対応できる可能性もあります。
食品工場排水は多量の油が含まれており、有機物で構成されるため、簡単には処理できない厄介な存在です。
生物処理装置は3,000万円以上することも珍しくなく、導入したくてもできないお客様もいらっしゃるでしょう。
もし食品工場排水の処理にお困りであれば、一度ネクストリーまでご相談ください。
小規模の排水量であれば生物処理以外の方法をご提案できる可能性があります。
下記ボタンよりお問い合わせをお待ちしております。