「凝集剤の投入量を増やしたら、うまくいかなくなった…。」という経験はありませんか?
凝集剤の入れすぎは、コストがかかるだけでなく、凝集不良の原因となり、逆効果です。
しかし、凝集不良の要因が、”凝集剤の入れすぎ”によるものかどうかを判断するのは、専門知識がなければ非常に難しいと言えます。
本記事では、凝集剤の入れすぎで起こる不具合と、入れすぎかどうかの判別方法を解説します。
目次
凝集剤を入れすぎた場合に起きる不具合
凝集剤で水処理を行う現場では、前工程から出る排水量が日々変化します。
最初に設定した凝集剤の量では、処理が追いつかない場合も出てくるでしょう。
凝集剤の量を増やすとユーザー様が多いですが、凝集剤を入れすぎても効果は見込めません。
排水の性質変化
凝集剤を入れすぎた場合、水が濁ります。
凝集処理は、一般的にマイナスに帯電している汚れを、プラスに帯電している凝集剤で中和して行います。
水中でプラスの電荷が異常に多いのが、凝集剤を入れすぎの状況です。
一次凝集(凝結作用)で使用するPACは、プラスの電荷を持っている凝集剤です。
マイナスの電荷を持っている汚れを中和して凝結させます。
PACを入れすぎると、良好な凝結ができずに水の濁度が上がってしまうのです。
二次凝集(凝集作用)で使用する高分子凝集剤を入れすぎた場合は、脱水する汚泥の含水率が上がり、固形物の回収率が悪化します。
このように、凝集剤の入れすぎは排水の性質を悪い方向に変化させてしまいます。
脱水する際の影響
凝集剤を入れすぎた場合、フィルタープレスやスクリュープレスでの脱水にも不具合が生じます。
問題なく凝集処理ができていると、脱水機から出た汚泥は、カチカチの状態です。
一方で、凝集剤を入れすぎた汚泥は含水量が多いので、水分をうまく絞ることができず、ベチャベチャな状態となります。
凝集不良の排水は、細かい粒子がたくさん残っている状態です。
この状態で脱水すると、「ろ布」がすぐに目詰まりします。
環境への負荷
凝集剤は、適切な使用方法と使用量を守って使用することが大切です。
凝集剤を入れすぎた排水は、前述したとおりうまく脱水できません。
最悪の場合、凝集処理できていない排水が、現場に流れ出てしまうので、環境に悪影響を及ぼします。
PACや高分子凝集剤は、使い方を間違えなければ環境負荷はほぼありません。
しかし、最適な添加量を超えて入れすぎた場合は、環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。
凝集剤の入れすぎを判別する方法
実際に現場で凝集剤の入れすぎを判別する方法はあるのでしょうか?
PACと高分子凝集剤の事例を確認していきましょう。
PACの場合
1次凝集で使用するPACは、排水の中の汚れを集める時に使用します。
うまく汚れが集まらない時に考えられるのが、凝集剤が足りないか、逆に入れすぎのどちらかです。
確認のために、少量の排水をビーカーに取り、PACを少しだけ入れて、かき混ぜてみましょう。
- 凝集処理が進む→凝集剤が足りない
- 凝集処理が進まない→凝集剤を入れすぎ
上記の通り、入れすぎかどうか判別できます。
高分子凝集剤の場合
高分子凝集剤は、1次凝集で集めた汚れを大きくして、沈澱しやすいようにするための薬品です。
高分子凝集剤の入れすぎを判別する方法は、以下の2つがあります。
- 排水の中に手を入れてみてヌルヌルするかどうかを確認
- 排水のサンプルを少量取り、垂らして粘性を確認
高分子凝集剤を入れすぎの場合は、排水の粘性が高まります。
1の方法で排水がヌルヌルしている場合は、明らかに高分子凝集を入れすぎです。
(※排水に劇薬等が使用されている場合は、素手で触るのは大変危険なので、注意しましょう。)
2の方法では、滴下する排水のしずくに注目してください。
高分子凝集剤を入れすぎの場合は、通常の水道水のしずくとは違い、ドロッとした感じで落ちるようになります。
凝集剤の最適な添加量
凝集剤の最適な添加量は、排水処理の専門家に判断してもらうのがベストです。
排水は現場ごとに成分が異なるため、使用する凝集剤や添加量も現場ごとに変える必要があります。
排水の基準は改定される場合もあるので、一度専門家に相談してみましょう。
まとめ
凝集剤の入れすぎは、さまざまな不具合の原因です。
複数の凝集剤を使用している場合は、それぞれのバランスを調整して、適切な添加量を専門家が詳しく調べる必要があります。
複数の凝集剤をお使いの場合は、一剤の薬品への変更も検討してみましょう。
添加量の調整が簡単になる場合があります。
特に排水量が一日10㎥以下の場合、一剤化することでコスト面でメリットがあるかもしれません。
凝集剤の入れすぎを解消し、最適な添加量を調べたい方は、一度下記フォームよりネクストリーまでお問い合わせください。