「水処理で使う薬品が多くて面倒なので、PACと苛性ソーダを混ぜて時短したい!」と考えている人もいるかもしれませんが、結論から言うと効果が無く非常に危険なので絶対にやめましょう。
PACと苛性ソーダはどちらも水処理に使われる薬品ですが、それぞれ役割が違うため、同時には使えません。
本記事ではPACと苛性ソーダの役割を解説、PACと絶対に混ぜてはいけない薬品の紹介を行い、正しい時短方法について紹介します。
PACと苛性ソーダを混ぜると効果がなくなる
PAC(ポリ塩化アルミニウム)は、pH4程度の弱酸性の液体で、工場排水や浄水場等で幅広く使用されています。
苛性ソーダは水酸化ナトリウムのことで、pH12程度の強いアルカリ性を持つ劇物であり、排水処理ではpHの調整目的で使用しています。
一般的な水処理の流れは以下のとおりです。
- PACで凝結
- 苛性ソーダで中和
- 高分子凝集剤で凝集
基本的には3つの薬品を使うため、時短のためにPACと苛性ソーダを混ぜて使おうと考える人もいますが誤りです。
PACは水に溶けると加水分解されるため、液体の苛性ソーダに入れるとたちまち効果がなくなるので、凝集剤として機能しなくなります。
時短になるどころか、逆に役に立たない状態となるので混ぜるのはやめましょう。
苛性ソーダは劇物であり、非常に危険な薬品です。
PACに限らず、何かと混ぜるという行為自体が危険なので、覚えておきましょう。
PACと苛性ソーダの役割
水処理では一般的にPACを投入した後に苛性ソーダを投入する必要があります。
PACと苛性ソーダの水処理における主な役割は以下のとおりです。
- PAC:水の汚れとくっつく
- 苛性ソーダ:中和処理で凝集剤の効果を高める
PACを汚れた水に投入すると、水中の汚れとアルミニウムがくっつく凝結作用が起こりますが、pH約4なので徐々に水が酸性に傾いていきます。
そこで登場するのがpH約12の苛性ソーダです。
酸性に傾いた水を中和して、pHを7程度の中性域に戻す役割を担います。
その後の凝集処理を行うときに、pHが7~9の方が汚れが取れやすくなるため、凝集剤の効果を高めるのも苛性ソーダの役割です。
凝集処理の流れは、以下の記事でもわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
■関連記事:凝集剤ってなんだろう?凝集処理の流れと 無機凝集剤と高分子凝集剤の使い方
その他にPACと絶対に混ぜてはいけない薬品
PACと次亜塩素酸ナトリウムは絶対に混ぜてはいけません。
自宅で使う洗剤にも「混ぜるな危険」と表記されているのと同じで、排水処理においても処理工程で「酸」と「塩素」を混ぜるのは非常に危険です。
PACは酸性の液体なので、次亜塩素酸ナトリウムのような塩素系の薬品と混ぜてしまうと有毒な塩素ガスが発生します。
塩素ガスは強い毒性を持ち、吸ったり触ったりすると、呼吸器や目、口の中の組織が破壊されてしまい最悪の場合、死に至る危険性があります。
水処理に使われる薬品は、苛性ソーダのように単体で危険性が高い劇物もあるので、安易に混ぜるのは非常に危険な使い方です。
もしも混ぜて使用しているのであれば、一度専門業者にお問い合わせください。
水処理の工程を時短できる『粉末一剤凝集剤』
PACと苛性ソーダは混ぜても、効果がなく時短にはなりません。
もし水処理の工程を時短したいのであれば、『粉末一剤型凝集剤』の導入を検討しましょう。
粉末一剤型凝集剤は、1種類の薬品でPACや苛性ソーダの効果を持った薬品です。
処理工程で時短したい方は、お気軽にネクストリーまでお問い合わせください。