私たちの生活にかかせない水!
工場などで大量に使用した水は循環させて再利用したり、川に流したり再利用するのですが、
環境のことを考えるともちろん汚れた水を流すことはできません。
汚れた水を処理するためには、凝集剤が必要です。
本記事では凝集剤の基本的なことについて解説します。
工場などで排水処理にお困りの方は必見です。
目次
凝集剤とは?
凝集剤は工場排水をキレイにするために必要となります。まずは凝集剤とは何なのか概要を確認していきましょう。
濁った水をキレイにする薬剤
凝集剤というのは簡単に言うと「濁った水を綺麗にする薬剤」です。
例えば、コーヒーのような黒い水は、肉眼で見えない微細な粒子が水中に分散しているため、黒く見えます。
凝集剤を黒い水に投入することで、微細粒子を集めて大きくさせて、沈殿させることが可能です。
この作用により、キレイな水を抽出することができます。
黒い微細粒子と水が分離していない理由は、マイナスに帯電している微細粒子同士が水の中で反発し合っているからです。
そのため微細粒子は、目に見えないほど小さいまま水の中を浮遊しています。
凝集剤を使うことで、水の中に分散している目に見えない粒子をまとめて沈殿させることができます。
凝集剤を使う目的
凝集剤を使う目的は、工場などで使用した水を、再び使えるようにキレイにすることです。
例えば、お米を洗うと水が濁って白いとぎ汁が出ます。
家庭では濁ったままの状態で下水に流しているところがほとんどだと思いますが、工場ではそうはいきません。
弊社のある富山県に、鱒寿司を製造する工場があります。
その工場ではお米を洗った後、なんと毎日50トンほどの多量のとぎ汁が出るそうです。
環境のことを考えると、50トンもの大量の汚れた水を、家庭と同じようにそのまま下水に流すことはできませんよね。
このままでは汚れた水が、行き場所がなく困ってしまいます。そこで、キレイな水にするために凝集剤を使う凝集処理の登場です。
凝集処理によってとぎ汁の白い部分を沈殿させることができます。
沈殿した部分を取り除き、透明になった水をいくつかのプロセスを通すことによって、川や下水に流すことが可能です。
凝集剤は環境に悪くない?
凝集剤は、廃水から環境を守るために使用される薬品であり、適切な使用方法を守れば、環境負荷はほぼありません。
しかし、凝集剤は化学薬品のイメージがあり、「そもそも凝集剤は環境に悪くないのか?」と質問されることが多く、凝集処理後の水を川に流すこともあるので、「川の生態系は大丈夫なのか?」という心配の声もあります。
そこで、凝集剤の安全性をテストするのが、生きた魚が入った水に凝集剤を入れて、魚の死亡率を測定する魚類毒性試験です。
凝集剤には接着剤のような役割をするものが入っています。接着剤の量が多いと、魚のエラなどに挟まり死んでしまいます。
ちなみに弊社の製品である無機系凝集剤アクアネイチャーは魚類毒性試験に合格しています。
全水量に対して1%のアクアネイチャーを入れても、全ての魚が生き残りました。
土木工事などで発生する泥水の処理に弊社のアクアネイチャーはよく採用されています。
土木工事で発生する汚水は川に流すことがほとんどなので、魚類毒性試験に合格しているアクアネイチャーは安心して使用して頂くことが可能です。
凝集処理の流れ
それでは実際に水をキレイにするための凝集処理は、どのようにして進められているのでしょうか?
凝集処理の流れについて、確認していきます。
凝結作用による一次凝集
最初に行うのが、凝結作用による一次凝集です。
凝結作用は、マイナスに帯電している微細粒子と、プラスに帯電している凝集剤が結びつく作用のことを指します。
一次凝集は、肉眼で認識できなかった微細粒子を、よく見れば分かる程度の大きさにするための作用です。
凝結作用によってできた粒子を、基礎フロックと呼びます。
凝結作用のための薬品の代表例は、PACや硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄などの無機凝集剤です。
この金属を凝集させるためには鉄が良いとか、コメのとぎ汁だったらアルミのほうが良い等、凝集処理をする対象の水との相性を見て、どの薬品を使うのかを選定します。
水のpH調整を行う中和処理
無機凝集剤を使って凝結作用を行った後は、水のpHを確認しましょう。
例えば塩化第二鉄は重いため、基礎フロックが沈殿しやすい一方で、pHが1程度なので、水が強い酸性になってしまいます。
そこで必要となるのが、苛性ソーダや消石灰などの中和剤の投入です。
中和剤を投入することで、強い酸性に傾いた水のpH値を戻すことができます。
凝集作用による二次凝集
次に凝集作用による二次凝集を確認しましょう。
凝集作用は、凝結作用で少し大きくなった粒子同士を、沈殿するくらいに大きくする作用です。
肉眼で粒子がはっきりわかる大きさで、1〜3mm程度になります。凝集作用によりできた粒子が、粗大フロックです。
凝集作用のための薬品には、高分子凝集剤(ポリマー)を使用します。
一次凝集で凝結した粒子同士をくっつけて、大きい粒子にする接着剤のようなものです。
高分子凝集剤は、プラスに帯電しているもの、マイナスに帯電しているもの、両性であるものなどに分かれており、細かく分けると100種類程度あります。
ユーザー様から「凝集処理の際に沈殿しにくい」と相談を受けることがありますが、高分子凝集剤と凝集させたい物質の相性が悪いことがほとんどです。
この沈殿不良は、高分子凝集剤の種類を変えることで、解決できる可能性があります。
凝集剤の種類と使い方
凝集処理は凝結作用による一次凝集、中和処理、凝集作用による二次凝集が基本的な流れです。
それぞれの工程で使用する凝集剤が変わってきます。凝集剤の種類と使い方を確認しておきましょう。
無機凝集剤
凝結作用による一次凝集では、基礎フロックを作るために無機凝集剤を使用します。
■無機凝集剤の代表例
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- PAC(ポリ塩化アルミニウム)
- 硫酸バンド
- 塩化第二鉄
無機凝集剤の多くは液体品(リキッドタイプ)です。
連続式排水処理装置の場合、タンクに入った無機凝集剤を薬注ポンプで吸い上げ、水槽に投入していきます。
無機凝集剤を投入することで、水のpH値が変動するため、同じ水槽もしくは隣の水槽でpH調整が必要です。
硫酸や苛性ソーダを中和剤として使用しましょう。水の量に応じて投入量を決定し、水槽への投入後は中和剤でpH調整をするというのが、無機凝集剤の一般的な使い方です。
高分子凝集剤
凝集作用による二次凝集では、粗大フロックを作るために高分子凝集剤を使用します。
■高分子凝集剤の種類
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- アニオン系(マイナスの電荷を持っている)
- カチオン系(プラスの電荷を持っている)
- ノニオン系(プラス、マイナスどちらの電荷も持っていない)
粗大フロックを作る二次凝集では、アニオン系の高分子凝集剤を使うことが一般的です。
高分子凝集剤は元々パウダー状であり、自動溶解装置を使って溶かします。
水の中に溶かした高分子凝集剤を入れて、30〜60分程度攪拌を続けることにより、だんだんととろみのある液体になっていくので、薬注ポンプを使って凝集処理をする水槽へ投入しましょう。
粉末一剤型凝集剤
凝集処理では、4〜5つの薬剤を個別で使用することが一般的です。
しかし、薬剤ごとの水槽や装置、薬注ポンプが必要となり、設置スペースや設備投資費用、メンテナンス費用などが課題となります。
これらの課題を解決するのが、粉末一剤型凝集剤です。粉末一剤型凝集剤は、一剤で凝結作用と凝結作用を行うことができる、リンスインシャンプーのような薬品となります。
高分子凝集剤のように溶かす必要がなく、そのまま水槽へ投入することができるので、使い方が非常にシンプルです。
多くの薬剤を管理する必要からも解放されるため、一般的な凝集処理での問題の多くを解決可能です。
粉末一剤型凝集剤アクアネイチャーの特徴
ネクストリーでは粉末一剤型凝集剤「アクアネイチャー」シリーズを製造しています。
主な特徴は以下の通りです。
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- 小規模排水(排水量10〜50㎥/日)の処理で最大限の効果を発揮
- 粉末なのでアニオンとカチオンの凝集剤を混ぜることができる
- 凝集、沈殿速度が速い
- 強靭で粘性の少ないフロック
- 中和剤が不要
- 排水処理作業の負担軽減
粉末一剤型凝集剤アクアネイチャーの特徴は、以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
工場などの排水は、凝集剤を使った凝集処理で適切に処理をすることが大切です。
処理する排水に合う薬剤を選定しなければなりませんが、凝集剤の種類も多く、お悩みの方が多いかもしれません。
凝集剤の選定にお困りの方は、水処理のプロであるネクストリーまでお問い合わせください。
最適な凝集剤と排水処理方法をご提案致します。