水質汚濁防止法とは?緊急時の対応と違反者への処罰について

『水質汚濁防止法』について

 特定施設を設置する特定事業場の方々はご存知の法律かと思いますが、特定施設を設置する事業場有害物質使用特定施設等では水質汚濁防止法(以下水濁法とします)によって様々な規制が設けられております。

排水基準については、一律排水基準暫定排水基準上乗せ排水基準総量規制基準と区別されており、よく耳にするかと思います。
 しかし、これらの基準を超えてしまった場合はいったいどうなるのでしょうか?
 また、緊急時や事故時にはどのような対応を行えば良いのでしょうか?
 そして水濁法はこれまでに何度か改正されてきております。

その改正点についても、次回になるかと思いますが、一部ご紹介致します。

『緊急時の措置について』

 弊社にご相談がある段階で内容をヒヤリングして行くと、既に緊急時と想定出来る事が多々あります。では、

どのような状態を緊急時とするのか??
水濁法では、以下のような状態にある時を緊急時とし、速やかに措置を取るよう定められております。

『水質汚濁防止法』における緊急時の条件について

生活環境項目

それぞれの水域ごとに定められている水質環境基準値の汚濁程度の2倍を超える状態になった時

有害物質

水質環境基準に定められている値を超える状態になったときで、これらの状態が相当日数継続すると認められる場合

『水質汚濁防止法』における緊急時の措置について

一般に周知させるとともに該当する水域に排出水を排出する者を対象として期間を定めて排出水量の減少特定施設の使用の一時停止希釈水による排出水の汚染状態の改善などを内容とする命令を文書により出す。
と定義されております。上記の状態が緊急時の状態です。

生活環境項目(pH、BOD,COD等)と有害物質(カドミウム、シアン、ひ素等)とでは状態が違う事もポイントとなります。

『水質汚濁防止法』における事故時の措置について

特定施設や指定施設の事故などにより、有害物質、油、生活環境項目、指定物質により公共用水域または地下水に被害が発生し、またはそのおそれがあるとき、特定事業場や指定事業場の設置者は直ちに応急の措置を講じ、かつ都道府県知事に届け出なければなりません。

『水質汚濁防止法』排水基準の違反者への罰則

『排水基準遵守の義務』

水濁法では、排水基準の遵守について以下のように定義しております。

特定事業場の排出口において、排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。

排水基準の違反者に対しては厳しい規定が定められております。

『直罰規定』

都道府県知事は、排水基準に違反した者に対し、改善命令を発動することなく直ちに罰則を適用できる。この排水基準には地方条例による上乗せ基準も含まれる。

『改善命令』

都道府県知事は、特定事業場の排出口で排水基準に不適合の排出水を出すおそれがあると認めるときは、施設の一時停止を含む改善命令を発動することができ、この命令に違反する者には罰則が科される。

『無過失賠償責任』

水質汚濁防止法に基づき、有害物質が含まれた汚水が公共用水域や地下水に排出され、その結果として人の生命や身体に被害を与えた場合、排出者は過失の有無にかかわらず損害賠償責任を負います。これは、民法の通常の賠償責任における「故意または過失」の証明を不要とし、有害物質による健康被害に限定して無過失責任を適用するものです。

違反者に対する刑事責任と民事責任

排水基準に違反している場合、都道府県知事は直罰規定または改善命令に基づき刑事罰を適用します。さらに、有害物質による健康被害が発生した場合には、無過失賠償責任に基づき、民事上の損害賠償責任も追及されます。排水基準の違反者は、刑事および民事の両面で重大な責任を負うことになるため、法規を遵守することが極めて重要です。

法令違反による影響

排水基準に違反した場合、罰則や施設の一時停止措置など、事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に改善命令により、事業の停止や生産の中断が生じると、企業の経済活動に深刻なダメージを与えることは明白です。

詳細は、環境省の公式ウェブサイトで確認することができます。水質改善や法律に関するご相談は、ぜひ弊社までお問い合わせください。

次回は、水濁法の改正点についてご紹介いたします。

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