【事例あり】BOD・CODを下げるには?違いから処理技術まで徹底解説

「BODもCODもなかなか下がらない」「そもそもBODとCODの違いがよく分からない」
工場や事業場で排水管理を担当していると、こうしたお悩みを抱えることは珍しくありません。

BOD・CODは、法律や条例で明確に基準値が存在し、非常に重要な管理項目です。基準値を超えて排水してしまうと、指導・改善命令や操業停止など、事業継続に関わるリスクにも直結します。

ここでは、BOD・CODの違いから、両方を効率よく低減するための処理方法まで、処理事例を交えて実務目線で解説します。

 
 

1. BODとCODの違いをまず押さえる

  BOD COD
読み方 ビーオーディー シーオーディー
別名称 生物化学的酸素要求量 化学的酸素要求量
指標の性質 水中の有機物を、微生物が分解したときに「どれだけ酸素を消費したか」 水中の有機物を、化学薬品で分解したときに「どれだけ酸素を消費したか」
水質汚濁防止法の基準値※(河川放流など) 160 mg/L(日平均 120 mg/L) 160 mg/L(日平均 120 mg/L)
下水道法の基準値※(下水道放流) 600 mg/L 基準値なし
高くなりがちな業種 ・食品製造業
・食肉処理場
・畜産
・化学工業
・製紙工場
・金属表面処理

※都道府県・自治体によっては、より厳しい基準を設けている場合があります。

BODとCODは、どちらも水の汚れの指標ですが、

  • BOD:食品廃棄物や生活し尿など、微生物によって容易に自然分解される「動植物由来の有機物」に由来
  • COD:合成洗剤や工業薬品、プラスチック原料など、微生物では分解しにくい「人工的な化学物質」に由来

つまり、BOD・CODを下げるということは「有機物を除去する」という意味になります。

 
 

2. BOD・CODの「両方」を下げる主な方法

ここからは、BODとCODをまとめて下げる代表的な処理方法を紹介します。

2-1. 凝集沈殿法

<概要>
凝集沈殿は、PACや高分子凝集剤(ポリマー)などの凝結剤・凝集剤を投入し、水中のSS(浮遊物質量)や油分などを大きなフロック(塊)にして沈殿・分離する方法です。

<ポイント>

  • まとめて除去:水中のSSに付着した有機物を一緒に取り除くため、水質基準の代表項目(SS・BOD・COD)を一度に処理できる
  • 高い処理能力:この方法だけで排水基準をクリアできることも多い
  • 素早い可否判断:ビーカーレベルで試験ができるため、低コストかつ短期間で処理可否を判断できる

<限界>

  • 溶解性成分への対応:凝集剤の捕捉範囲より小さい粒径の物質(溶解性BOD・COD)は除去できない
  • 低濃度排水での効果:濁りの少ない(見た目が透明に近い)排水ではフロックが生成されにくく効果が出にくい

<処理例>
以下は当社にて実施した、凝集沈殿処理による試験データです。

  • 業種:農業資材の製造(製造時の洗浄水)
  • 処理方法:当社 粉末凝集剤「アクアネイチャーHR」
  • 所感:本試験では、BOD・CODを90%以上削減することができました。それだけSS由来の有機物が多い排水だったと考えられ、薬品1種類で処理が完結しています。
測定項目 原水 処理水
写真
pH 5.9 6.5
BOD 77.6 7.9(約 90% 減)
COD 422 34(約 92% 減)
SS 200 4.0(約 98% 減)

(数値単位:mg/L)

【製品ページ】アクアネイチャーHR
【関連記事】凝集剤ってなんだろう?凝集処理の流れと 無機凝集剤と高分子凝集剤の使い方
【凝集沈殿処理の導入事例】樹脂加工業の老朽化した排水処理設備を更新。狭い搬入口にも対応

2-2. 専用処理剤による化学分解

<概要>
強力な酸化剤による化学反応で汚れを分解する方法です。

<ポイント>

  • 汚泥が発生しない:薬品由来の汚泥が発生しないため、最終工程でも導入できる
  • 圧倒的な高度処理:数十 mg/LのBOD・CODを、0.5 mg/L以下に低減可能
  • 選べる形態:粉末・液体どちらでも使用でき、今の設備に合わせて組み込むことができる

<限界>

  • 高濃度排水への対応:BOD・CODが 2,000 mg/L を上回ると、本処理のみで排水基準をクリアするのは難しい
  • 反応時間の目安:排水によって撹拌時間は前後し、完了までに1時間以上かかるケースもある

<処理例>
以下は、処理剤を使った処理データの一例です。

排水種別 処理対象 原水 処理水
食品排水 COD 70 18(約 74% 減)
塗料排水 COD 260 39(85% 減)
洗浄排水 BOD 3,700 1,800(約 51% 減)
消化液排水 BOD 19,000 1,900(90% 減)

(単位:mg/L)

2-3. 活性炭吸着

<概要>
活性炭吸着は、活性炭に存在する微細孔に、水に溶けた有機物や臭気成分を吸着させて除去する方法です。

<ポイント>

  • 微量成分の除去:凝集処理や生物処理では除去しきれない微量な有機物に効果的
  • 多様な形態:粉末、粒状、カートリッジタイプなど、用途に応じた選択が可能
  • 水質安定化の保険:基本的に単独処理ではなく、濃度変動があっても一定の処理水質を維持するための安全装置として利用される

<限界>

  • 限定的な除去率:活性炭のみの場合、BOD・CODの除去率は30%程度に留まるため、大部分を前処理工程で除去することが前提
  • 設備負荷の増大:高濃度な排水を直接通水すると、短期間で目詰まりや吸着飽和が発生し、運用効率が大幅に低下する

<処理例>
以下は当社にて実施した、活性炭吸着による試験データです。

  • 業種:金属加工(バレル研磨機からの排水)
  • 処理方法:粉末活性炭・PAC・pH調整剤・高分子凝集剤
  • 所感 :「活性炭なし」でも約5割の低減が見込めますが、「活性炭あり」だとより高度な除去性能を発揮します。
測定項目 原水 処理水(活性炭なし) 処理水(活性炭あり)
写真
pH 6.8 6.8 6.9
BOD 280 78(約 72% 減) 53(約 81% 減)
COD 200 110(45% 減) 37(約 81% 減)
SS 80 4.8(94% 減) 2.1(約 97% 減)

(数値単位:mg/L)

 

2-4. UF膜・RO膜による膜処理

<概要>
UF膜(限外ろ過膜)・RO膜(逆浸透膜)は、「特定サイズ以上の分子・イオンをほぼ完全に除去できる膜」を通して水をろ過する方法です。

<ポイント>

  • 目的に応じた使い分け:膜の孔径はUF膜よりRO膜の方が微細なため、求める水質に応じて使い分け・併用をする
  • UFは凝集沈殿以上:UF膜は凝集沈殿より高い処理性能を持ち、この工程のみで排水基準値を下回るケースも多い
  • ROは再利用の可能性も:RO膜を通過した水は純水レベルまで処理されるため、工場内での再利用も視野に入る
  • 優れた安定性:排水を物理的にろ過するため、原水の濃度変動に左右されず一定の処理品質を維持できる

<限界>

  • ROは前処理が必須:RO膜を単独運用すると即座に閉塞するため、凝集沈殿やUF膜による事前の不純物除去が必須となる
  • 高濃度SSへの耐性:UF膜であっても、SSが5,000 mg/Lを超えるような高濃度排水では目詰まりが発生しやすい

<処理例>
以下は当社にて実施した、UF膜・RO膜による試験データです。

  • 業種:金属加工(水溶性切削油の洗浄水)
  • 処理方法:UF膜・RO膜
  • 所感:UF膜だと、SSは1桁台まで下がりますが、BODは6,000 mg/Lとなっています。これは、膜の孔を通り抜ける極細な有機物が残存しているためと推測されます。一方で、RO膜まで処理すると、BODも2桁台まで改善可能です。今回の試験でCODの測定は未実施ですが、油分指標であるn-ヘキが大幅に減少していることから、CODについてもBODに近い低減効果が得られていると考えられます。
測定項目 原水 処理水(UF膜) 処理水(RO膜)
写真
pH 9.8 9.3 10.0
BOD 32,000 6,000(約 81% 減) 18(約 99% 減)
n-ヘキ※ 24,000 1,200(約 95% 減) 1.0未満(約 99% 減)
SS 1,100 4.0(約 99% 減) 2.0未満(約 99% 減)

(数値単位:mg/L)
※n-ヘキ…ノルマルヘキサン抽出物質の略称であり、排水中の油分の指標。

【UF膜の導入事例】バレル研磨排水のコストを47%削減!UF膜導入でコスト削減と劇物廃止を実現

2-5. 蒸留処理

<概要>
蒸留処理は、排水を加熱して沸騰させ、発生した水蒸気だけを回収して冷却する方法です。SSや油分等は蒸発せずに装置内へ残留するため、清澄な処理水のみを取り出すことができます。

<ポイント>

  • 高濃度排水の安定処理:凝集沈殿処理や膜処理では対応困難な、高濃度排水に対して特に有効。膜処理と同様に、濃度変動に左右されずに処理ができる
  • 極めて高い処理水質:UF膜と同等、あるいはそれ以上の高品質な処理水が得られる

<限界>

  • 揮発性物質の混入:水より沸点の低い物質は蒸留水側へ移行するため、処理水質へ影響する場合がある

<処理例>
以下は当社にて実施した、蒸留処理による試験データです。

  • 業種:印刷業(接着剤の洗浄水)
  • 処理方法:蒸留のみ
  • 所感:BOD・COD・SSが国の一律排水基準以下(160 mg/L)となり、水道水並みの透明度を得ることができました。
測定項目 原水 処理水(蒸留水)
写真
pH 11.2 9.0
BOD 23,800 54.6(約 99% 減)
COD 37,800 32.5(約 99% 減)
SS 1,100 1未満(約 99% 減)

(数値単位:mg/L)

2-6. 希釈による濃度低減

<概要>
希釈は、排水を薄めることで、見かけ上のBOD・COD濃度を下げる方法です。

<ポイント>

  • 現場での簡易的な運用:現場での緊急対応や一時的な調整に活用可能
  • 低コスト:井水や冷却水などを利用することで、水道代の低減にも寄与

<限界>

  • 自治体による規制:自治体によっては、明確に禁止しているケースが存在
  • 総量規制への不適合:地域によっては、濃度ではなく「1日あたりの排出量(kg)」が評価対象となるため、希釈による体積増加では対策できない
  • 補助的手段としての位置づけ:汚染物質そのものを除去・分解する工程ではないため、あくまで補助的な対応策
 

3. 主にBODを下げる方法:生物処理

BODは、食品廃棄物や生活し尿といった「微生物が分解しやすい有機物」を多く含む排水で上昇します。これらの排水を微生物の力で分解・除去する手法を「生物処理」と呼び、BOD低減における代表的な対策となります。ここでは、2つの生物処理について解説します。

3-1. 活性汚泥法

<概要>
活性汚泥法は、BODを下げるうえで最も一般的な処理方法です。曝気槽に排水をためてブロワーで空気を送り込み、増殖させた微生物に有機物(BOD)をエサとして分解させることで処理します。

<ポイント>

  • 大規模排水への適性:ランニングコストが、ブロワーの電気代と一部の薬品代に限定されるため、数十m3以上の排水処理に最適
  • 低い環境負荷:自然界の微生物を活用しているため、環境負荷が低い

<限界>

  • 設備規模とコスト:曝気槽や沈殿槽などの大型設備が必要となるため、排水量10m3/日以下のような小規模排水では費用が割高
  • 運用の負荷とリスク:水温・pH・酸素量・汚泥濃度などの精密な管理が不可欠。急激な水温変化・濃度変化によって微生物が死滅し、処理能力が著しく低下するリスクも

3-2. 曝気(エアレーション処理)

<概要>
曝気は、排水にブロワーで空気(酸素)を吹き込む方法です。排水中に自生する微生物を利用して、有機物を分解します。前述の活性汚泥法と違い、意図的な微生物の添加は行いません。

<ポイント>

  • 低い初期投資:曝気槽と散気管のみのシンプルな構成であり、沈殿池や汚泥返送ポンプといった複雑な設備が不要
  • 容易なメンテナンス:管理すべき汚泥が存在しないため、微生物の死滅リスクに悩まされることがなく、日常の管理負荷が極めて低い

<限界>

  • 処理時間の必要性:排水中の自生微生物のみによる分解プロセスであるため、BOD低減には長期間(24〜72時間以上)の滞留時間が必要となる場合がある

<処理例>
以下は当社にて実施した、曝気処理による試験データです。

  • 業種:金属加工(バレル研磨機からの排水)
  • 処理方法:曝気のみ
  • 所感:曝気だけでBOD・CODが90%以上削減できました。さらに写真の色を見ると、曝気時間ごとに濁度も低減しており、活性汚泥なしの曝気だけでも低減効果があることが分かります。
測定項目 原水 処理水(24時間 曝気) 処理水(48時間 曝気)
写真
pH 9.2 8.3 8.1
BOD 490 24(約 95% 減) 42(約 91% 減)
COD 550 42(約 92% 減) 27(約 95% 減)

(数値単位:mg/L)

【曝気処理の導入事例】金属加工業BOD・CODの低減

 

4. CODだけを集中的に下げる方法:UV酸化

<概要>
UV酸化は、強力な紫外線の照射による光化学反応で難分解性CODを分解する方法です。

CODの中で、微生物の力だけでは分解が困難なものを「難分解性COD」といいます。金属表面処理や切削加工の現場で排出される切削油・クーラント液などはその典型です。

難分解性CODの処理には、凝集沈殿や蒸留がよく用いられますが、それでも完全に除去しきれず、排水基準の壁にぶつかるケースが少なくありません。ある程度まで低減した処理水に対して、二次処理としてUV酸化が利用されます。

<ポイント>

  • 難分解性CODの処理:微生物では分解困難な有機物(メタノールやフェノールなど)の処理に有効
  • 微量成分の高度処理:数 mg/L 〜数十 mg/L レベルの微量なCODを、極限まで低減させる際に安定した効果を発揮
  • 高濃度排水も処理:過酸化水素やオゾンなどの酸化剤と組み合わせることで、さらに高いCOD低減効果を実現可能

<限界>

  • 前処理が必須:排水が濁っていると紫外線が遮断されるため、凝集沈殿処理やUF膜による事前のSS除去が不可欠

5. どの方法なら自社の排水を処理できるか

今回紹介した方法の中から、自社に最適なものを選ぶのは簡単ではありません。原水のBOD・COD値はもちろん、予算や排水量、さらには設置スペースなど、複数の判断基準が求められるからです。実際に試験を行わなければ判断できないケースも多々あります。

当社ネクストリーでは、ここで紹介したすべての方法でご提案が可能です。「BODの効率的な下げ方が分からない」「CODの基準値超過に悩んでいる」「自社の排水に最適な処理方法を知りたい」といったお悩みがあれば、ぜひ当社までご相談ください。

現場の状況を詳細にヒアリングし、最適なBOD・COD低減フローをトータルでご提案いたします。

6. BOD・CODの測定方法

6-1. パックテスト(簡易測定キット)

<概要>
試薬入りの小さなチューブに試料水を吸い込ませ、反応させた後に色見本と比較して概略値を測定する簡易キットです。

<ポイント>

  • 迅速な水質把握:BOD・CODは数分で結果が出るため、現場での日常管理や水質異常の早期発見ができる
  • 手軽で低コスト:このキットだけで測定ができ、金額も数千円ほどで手軽に試せる
  • トレンド管理に最適:絶対値の測定よりも、「昨日や通常時と比べて水質が上がったか下がったか」という日々の変動傾向(トレンド)を追う運用に向いている

<限界>

  • 公的な証明には使えない:得られる数値はあくまで「概略値」であるため、行政への報告や排水基準適合の正式な判定には使用できない
  • 事前の相関確認が必要:自社の排水性状によって色の出方が異なる場合があるため、導入初期に一度、後述の「公定法」との相関を確認し、独自の「読み替え感覚」を掴んでおく必要がある
  • 排水性状による制限:不純物が極めて多い場合、それが反応の阻害要因となり、正確な数値を計測できない

<使用例>
以下はパックテストによるBOD測定の様子です。

チューブ内の反応色を色見本と照合すると「300 mg/L」付近であることが読み取れます。当社では日常的にパックテストを使用していますが、感覚として、色見本の1目盛り程度の誤差がある印象です。

この測定では、200〜500 mg/L の範囲内にあると推測されます。

6-2. 水質分析(公定法)

<概要>
JISなどで定められた測定・分析方法。専門の分析機関が実施し、厳密かつ正確な数値を測定する方法です。

<ポイント>

  • 高い信頼性と法的有効性:行政への報告や、排水基準をクリアしているかどうかの正式な判定、あるいは排水処理設備を設計する際の基礎データとして必須となる
  • 正確な絶対値の測定:前述のパックテストでは判定が難しい、不純物の影響を排除した精密な数値を出すことができる

<限界>

  • 結果が出るまでのタイムラグ:結果が出るまでには1〜2週間ほどかかり、項目数が多いとさらに数週間かかることもあるため、日常的な管理には不向き
  • 委託コストの発生:専門の分析機関に依頼するため、測定のたびに一定の費用がかかる
 

7. まとめ:BOD・CODを効率よく下げるために

BODとCODはそれぞれこのような意味の違いがあります。

  • BOD:「微生物が分解できる有機物の量」
  • COD:「薬品で酸化できる汚れの総量」

そして、BOD・CODを下げるためには、以下の方法が有効です。

  • 凝集沈殿処理
  • 専用処理剤
  • 活性炭吸着
  • UF膜・RO膜
  • 蒸留
  • 希釈
  • 生物処理(活性汚泥法・曝気)
  • UV酸化

「BODを下げる方法が分からない」「CODが基準を超えて困っている」
「自社排水にどの処理が合うのか知りたい」などのお悩みがあれば、当社ネクストリーまでぜひご相談ください。

実際の水をお預かりしての試験も含め、最適なBOD・COD低減方法をトータルでご提案いたします。

一日10㎥以下の排水処理のことなら、薬品から設備まで何でもご相談ください。
手動式設備から全自動までご要望・予算に合わせて最適なご提案を致します。
ご質問はLINEからも受け付けております。