水質汚濁防止法について関連用語や事業者の義務をわかりやすく解説!

「自社が水質汚濁防止法に違反していないかどうか不安..。」とお困りではありませんか?

水質汚濁防止法では「特定施設」や「総量規制」など耳馴染みのない用語が多く出てくるため、理解しにくいという人も多いでしょう。

一見難しく思える水質汚濁防止法ですが、1つずつ紐解いて確認していくことで、自社が違反していないかどうかがわかります

本記事では水質汚濁防止法に関連する用語を噛み砕いて解説しているだけでなく、事業者の義務も紹介しています。

記事の最後には水質汚濁防止法でわからないことがあった場合の対処方法についても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

 

水質汚濁防止法とは? 

水質汚濁防止法は1970年12月に制定された「国民の健康と生活環境を守ること」を目的とした法律です

水質汚濁防止法では主に以下の3つにより、公共用水域や地下水の水質汚濁を防止しています。

(公共用水域は「川・湖・沼・海とこれらに接続している水路すべて」と解釈すればわかりやすいでしょう。)

  • 工場や事業場から公共用水域に排出される水の規制
  • 地下に浸透する水の規制
  • 生活排水対策の実施

つまり水質汚濁防止法は、工場や家庭で使用して汚くなった水の排出ルールを定めた法律です

排出ルールを守らないと人の健康や環境に悪影響が出るため、罰則が設けられています。

 

水質汚濁防止法に関連する用語

水質汚濁防止法に関連する用語は理解するのが大変なものが多いですが、その中でも特に難しいのが以下の5つです。

  • 特定施設
  • 一律排水基準
  • 上乗せ排水基準
  • 横出し基準
  • 総量規制

この5つの用語は嚙み砕いて考えれば、実はそこまで難しくありません。以下でわかりやすく解説します。

特定施設

水質汚濁防止法では、人の健康や生活環境に害をもたらすものを含んだ水を流す設備を特定施設としています

例えば、湿式塗装ブースは特定施設です。金属製品の製造業を行う企業であれば、「特定施設一覧表63 ホ 廃ガス洗浄施設」に該当します。

参考:東京都環境局「水質汚濁防止法特定施設」

特定施設の種類は多岐に渡り、自社で導入する設備が特定施設かどうか判断するのはかなり難しいので、地方自治体の管轄部署もしくは水処理に詳しい業者や設備メーカーに相談するのがよいでしょう。

一律排水基準

環境省「排水規制」の資料を参考に作成

一律排水基準とは、国が定めている排水の許容限度です

排水1リットルに含まれる汚染物質の量を決めたものであり、有害物質とその他の項目に分かれています。

■有害物質の一例

  • カドミウム及びその化合物:0.03mg Cd/L
  • 鉛及びその化合物:0.1mg Pb/L
  • ジクロロメタン:0.2mg/L

■その他の項目の一例

  • BOD(生物化学的酸素要求量):160mg/L
  • COD(化学的酸素要求量):160mg/L
  • SS(浮遊物質量):200mg/L

引用:環境省「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」一般排水基準

上乗せ排水基準

環境省「排水規制」の資料を参考に作成

一律排水基準は国が定めているもので、都道府県が条例で定める排水基準の方が厳しくなることもあります。

これが上乗せ排水基準です

例えば、カドミウムは一律排水基準では0.03mg Cd/Lですが、東京都が定める条例では0.003mg Cd/Lであり、より厳しい基準となっています。

参考:東京都環境局「水質汚濁防止法排水基準等について」

横出し基準

環境省「排水規制」の資料を参考に作成

横出し基準は、水質汚濁防止法で規制の対象外となっている物質や業種について、都道府県や市町村が条例で定める基準のことです

仮に特定施設を保有していない工場から一律排水基準を満たしていない排水があった場合、水質汚濁防止法の適用を受けない可能性があります。

それでは、地域の水質が悪化していく恐れがあるため、都道府県が定める横出し基準によって補完されることが多いといえるでしょう。

総量規制基準

画像引用:環境省「水質総量規制制度の概要」より

一律排水基準と上乗せ排水基準に加えて、閉鎖性海域(東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海)に隣接している自治体では、1日の平均排水量が50㎥以上の特定事業場に総量規制基準が適用されます

対象となる項目は以下の3つです。

  • COD(化学的酸素要求量)
  • 窒素含有量
  • りん含有量

閉鎖性海域は陸地で囲まれており、工場などから流入する汚濁物質が蓄積して、プランクトンの異常増殖など水質の不具合が起こりやすくなっています。

総量規制基準は、閉鎖性海域に流入する汚濁物質の総量を監視するための基準と考えればわかりやすいでしょう

 

水質汚濁防止法で義務づけられていること

水質汚濁防止法では以下の2点が事業者に義務付けられています。

  • 自治体への届出
  • 排水の測定・記録・保存

これらの義務を怠った場合、罰則を受ける可能性も否定できません。義務と罰則を合わせて確認していきます。

自治体への届出

工場などの事業場では、特定施設の設置や変更があった場合、自治体の管轄部署への届出が義務付けられています

具体的には以下のタイミングで届出が必要です。

  • 特定施設を新しく設置するとき(更新も含む)
  • 特定施設の構造や汚水の処理方法などを変更するとき
  • 既設の施設が特定施設に指定されたとき
  • 代表者の氏名や事業場の名称・所在地が変わったとき
  • 特定施設の使用を廃止したとき
  • 特定施設を譲り受けたとき

届出のフォーマットは自治体のホームページからダウンロードできます。

特定施設かどうかわからない場合は、一度自治体の管轄部署へ問い合わせしてみましょう。

参考:奈良県 水・大気環境課「水質汚濁防止法(届出様式等)」

排水の測定・記録・保存

水質汚濁防止法では、特定施設の届出書に書かれている排水の水質項目について、1年に1回以上の測定と記録の3年間保存が義務付けられています

測定が必要なのは特定施設設置届出書(様式第1)の別紙4に記載されている項目です。

画像引用:奈良県 水・大気環境課「水質汚濁防止法(届出様式等)」様式第1(第3条関係)

義務を怠った場合の罰則

水質汚濁防止法で定められている義務を怠った場合、事業者には以下の罰則が課せられる可能性があります。

  • 特定施設設置届を提出しなかった→3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 排水の測定・記録・保管を怠った、虚偽の報告をした→30万円以下の罰金

この他にも当然ながら排水基準を超過した場合も、懲役や罰金が課せられる可能性がありますので、注意が必要です

国内の事業者でも、自社や個人の利益のために違法排水を繰り返したり、無認可で特定施設を設置したりして、最終的に罰則を受けた事例があります。

罰則を受けると事業者の社会的な信用が損なわれますので、義務は必ず守りましょう

 

水質汚濁防止法でわからないことはネクストリーにお問合せを!

水質汚濁防止法では、人の健康や環境保全のために細かいルールが定められています。

全てを理解することは難しいですが、ポイントを押さえていないと、知らない間に違反となっていることもあるかもしれません

水質汚濁防止法でわからないことがあれば、お気軽にネクストリーまでお問い合わせください。

水処理業者として蓄積した豊富な経験から、課題解決につながるアドバイスを行うことが可能です。

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