苛性ソーダの人体への影響を徹底解説!安全に取り扱う方法も紹介

「苛性ソーダが原因で労災があったらしい。人体にどんな影響があるの?」

 苛性ソーダは劇物として有名ですが、具体的に人体へどのような影響があるのかよくわからないという人も多いでしょう。

苛性ソーダは人体に触れると、皮膚の熱傷や失明を引き起こす可能性があり、大量に浴びて死に至ったケースもあります

本記事では苛性ソーダの人体に対する影響と安全に取り扱う方法について解説します。

また実際に起きた労災事例についても紹介しているので、現場をより安全にするための参考にしてみてください。

 

苛性ソーダの人体への影響

まずは苛性ソーダの取り扱いを間違った場合、人体にどのような影響があるのか確認していきましょう。

  • 皮膚や目に触れると熱傷や失明の恐れがある
  • 吸い込むと体内の粘膜を腐食する

上記のとおり、一歩間違えれば死亡に至る可能性があります。

それぞれを掘り下げて確認していきましょう。

皮膚や目に触れると熱傷や失明の恐れがある

苛性ソーダはたんぱく質を分解する作用があり、一度分解されてしまったたんぱく質は再生されません。

また熱による火傷と違い、暴露したその場で軽症と判断し処置を怠れば、大怪我になってしまうため、危険性を認識しておく必要があります。

万が一、人体に付着した苛性ソーダが取り除けない状態になった場合、組織の深部まで到達する恐れがあり、非常に危険です。

吸い込むと体内の粘膜を腐食する

苛性ソーダは、強い腐食性から口の中や喉、食道や胃などに炎症を引き起こします。

万が一、飲み込んでしまった場合は、吐きだすと食道を再度刺激してしまい逆効果です

安全性の観点から、作業環境での苛性ソーダの粉じん許容濃度は2mg/㎥が上限値に設定されています。

苛性ソーダを扱う場合は、死亡にまで至る危険性があるということを十分に理解したうえで、正しく扱うための知識を身に付けることが大切です。

 

苛性ソーダが原因での労災事例

人体への危険性が高い苛性ソーダですが、実際には多くの現場で使用されており、労災も発生しています。

今回紹介するのは油揚げ製造工場で、蒸煮釜の洗浄作業中に苛性ソーダが飛散して作業者が熱傷を負った労災です。

こちらの事例ではフレーク状の苛性ソーダ約4kgを袋から直接投入口に投げ入れたため、釜の内部が突沸状態になり、苛性ソーダ水溶液が飛散して作業者の上半身にかかってしまいました。

危険作業である認識が甘かったことと、保護具の着用ができていなかったことも重なり、作業者は重症を負っています。

参考:厚生労働省「職場のあんぜんガイド」

その他にもタンクに落ちて、苛性ソーダを大量に暴露して作業者の方が亡くなった事例もあるため、安全対策は必ず必要です。

 

苛性ソーダを安全に取り扱う方法

労災の事例でも確認したとおり、苛性ソーダは取り扱いを間違えれば大惨事を引き起こす可能性があるので、以下を徹底しましょう。

  • 適切な保護具を着用する
  • 固形の場合は少しずつ溶かす
  • 救急処理を頭に入れておく

苛性ソーダを安全に取り扱う方法を確認していきます。

適切な保護具を着用する

苛性ソーダを取り扱う場合は、万が一の飛散や付着に備えて以下の適切な保護具を必ず着用しましょう

  • 保護メガネ
  • 保護手袋
  • ヘルメット
  • 長靴
  • 前掛け

保護具着用時は、破損がないかどうか必ずチェックすることが大切です。

正しい保護具の着用方法を写真で掲示しておけば、現場の安全に関する意識が向上するでしょう。

固形の場合は少しずつ溶かす

苛性ソーダをフレーク状など固形で保管しており、使用時に水に溶かす現場では、少しずつ溶かすようにしましょう。

一気に多量の苛性ソーダを水に入れると突沸状態になり、飛散の原因となります

少しずつ苛性ソーダを水に溶かすためには、ひしゃくを使うなどのルールを決めておきましょう。

救急処置を頭に入れておく

苛性ソーダは人体に悪影響を及ぼすため、万が一の事態が起こった場合に、正しい救急処置を頭に入れておくことが大切です。

衣服に付着した場合は直ちに脱ぐ、皮膚に付着したり目に入った場合は直ちに流水で15分以上洗い流す、吸い込んだ場合は無理に吐かせないなど、救急処置の初動を覚えておくだけで、人体に与える影響を最小限に食い止められます。

救急処置については、苛性ソーダのSDSに記載されていますので、必ず確認しましょう。

 

苛性ソーダを使わない水処理の方法

ここまで、「苛性ソーダは非常に危険であり、取り扱いに細心の注意が必要」と伝えてきましたが、実はpH調整目的であれば、安全に使用できる代替品が存在します。

ネクストリーが提供する「アクアネイチャーDC」は、学校の運動場で使う白線などで使用される水酸化カルシウムをベースにしており、苛性ソーダと比較し高い安全性を持つ薬品です。

主に水処理の現場の中和工程でpH調整目的に使用されており、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:苛性ソーダの排水処理での特徴とは?危険性が低い他の薬品も紹介

 

苛性ソーダは危険性を理解して使用しよう

苛性ソーダは皮膚の熱傷や視力の低下、気管の炎症など、人体に悪影響を及ぼす劇物です。

安全に取り扱うために保護メガネや保護手袋などの保護具を正しく着用し、万が一皮膚に付着した場合の救急処置を頭に入れておくことが大切です

苛性ソーダは使い方を間違えると、死亡事故を引き起こす可能性があることをよく理解して、正しく安全に使うように心がけましょう。

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