「産業廃棄物の処理費用を減らしたい!」と考えて、脱水機の導入を検討している人も多いでしょう。
確かに汚泥の含水率を下げれば産業廃棄物として処理する量が減るため、処理費用を削減可能です。
しかし、脱水機自体が高額なものが多いため、導入すべきかどうか判断できないという声もあります。
本記事では廃水処理で脱水機の導入時に考えるべきポイントをわかりやすく解説しています。
記事を最後までお読みいただくと、本当に脱水機を導入すべきかどうかがわかるでしょう。
脱水機を導入しようと考えている方は必見です。
目次
廃水処理における脱水機の役割
廃水処理における脱水機の役割は、汚泥に含まれる水分を取り除き、重量や体積を減少させることです。
体積や重量を減らすことで、運搬コストを含めた、産業廃棄物処理費用の削減が期待でき、廃棄物の最終処理を行う際の環境に与える負荷も低減できるため、特に排水量が多い現場で、脱水機は導入されています。
ちなみに、汚泥の水分をなくしてペースト状にしたものは単に「ケーキ」と呼び、排水処理においては、脱水機を使用するため「脱水ケーキ」と呼ばれています。
脱水機の種類
脱水機の名称 |
強熱減量(VTS)目安 |
メリット |
デメリット |
フィルタープレス脱水機 |
30~50% |
・他の脱水機と比較して高い脱水効率を誇る ・多様な汚泥に対応できる |
・ろ布の目詰まりなどで液漏れが起きる可能性がある |
スクリュープレス脱水機 |
60%以上 |
・目詰まりが起こりにくい ・低速運転で騒音が少ない |
・粒子が細かい汚泥や高繊維質の汚泥の処理は難しい |
多重円板型脱水機 |
40%以下 |
・目詰まりが起こりにくい ・比較的設備がコンパクト |
・脱水の処理速度が遅い |
脱水機は数多くの種類がありますが、代表的な方式は上記の3種類です。それぞれ手動式、半自動式、全自動式のものがあり、脱水したい汚泥の性状や量によって、選択肢とイニシャルコストが変わってきます。
脱水機の3つの方式について、概要を確認していきましょう。
フィルタープレス脱水機
フィルタープレス脱水機は、限られた空間である、ろ過室に汚泥を入れて加圧することで脱水する機械です。
汚泥を加圧して水を脱水機の外に排出した後、脱水ケーキをろ過室から落下させます。
他の脱水機と比較して含水率が低い脱水ケーキを作れるのがメリットである一方で、ろ布の目詰まりや圧力が強すぎる場合に液漏れしてしまう恐れがあるのがデメリットです。
スクリュープレス脱水機
スクリュープレス脱水機は、円筒状のスクリーンとスクリューの羽根で構成されたろ過室にで脱水を行います。
ろ過室の大きさが出口に向かって縮小していく構造になっているのが特徴的です。
連続運転で脱水処理をしており、フィルタープレスなどろ布を使う脱水機と比較して目詰まりを起こしにくいのがメリットだといえます。
スクリュープレス脱水機はスクリューの羽根の動きによって汚泥を絞っているため、粒子が細かい汚泥や高繊維質の汚泥など、汚泥の種類によっては脱水しにくいのがデメリットです。
多重円板型脱水機
多重円板型脱水機は、薄い円板が多数あるロールを並べたろ過室に汚泥を通すことで脱水する機械です。
重力とロール同士による圧縮により、汚泥を脱水します。
脱水時に加圧しないので省エネルギーであることと、目詰まりを起こしにくいのがメリットですが、他の脱水機と比較して処理速度が遅いのがデメリットだといえるでしょう。
廃水処理で脱水機の導入時に考えるべきポイント
廃水処理で脱水機の導入を検討する際は、以下のポイントを確認することが大切です。
- 廃水の性状を確認する
- 廃水量と汚泥量を確認する
それぞれのポイントを確認していきます。
廃水の性状を確認する
汚泥を脱水する際には、廃水中の蒸留残留物(TS)と強熱減量(VTS)を調べることが大切です。
- 蒸留残留物(TS):廃水を105℃で蒸発乾燥させた後に残る重量のことで、浮遊物と溶解物の総量となる
- 強熱熱量(VTS):TSをさらに600℃で焼いたときに揮散する物質量を重量比で表したもので有機物の量とみなされる
TSは値が高い方が脱水しやすく、逆にVTSは低い方が脱水しやすくなります。
VTSの値が高い汚泥は有機物が多く含まれていて粘性が高いため、脱水しにくいのが特徴です。
廃水の性状を確認して、適切な脱水機を選ぶようにしましょう。
廃水量と汚泥量を確認する
汚泥を脱水しない場合 |
汚泥を脱水する場合 |
|
固形分(ドライ)重量 |
200kg(10%) |
200kg(20%) |
水重量 |
1,800kg |
800kg |
汚泥全量 |
2,000kg |
1,000kg |
汚泥処分費用 |
60,000円/月 |
30,000円/月 |
■条件
- 2,000kg/月の汚泥(含水率90%)が発生する
- 脱水機により含水率を80%まで落とせる
- 汚泥費用は30円/kgとする
上の表は汚泥を脱水せずにそのまま産業廃棄物として処理した場合と、脱水してから処理した場合を比較したものです。
固形分(ドライ)重量はどちらも変わらないので、含水率を10%下げられれば、汚泥の総量が半分になることがわかります。
上記の例では年間で約36万円の汚泥処分費用を削減可能です。
仮に脱水機導入のイニシャルコストが300万円とすれば、回収にかかる期間は約7年(83.3ヶ月)となります。
仮に汚泥量が5倍となれば汚泥処理費用の削減効果は180万円となるので、300万円の脱水機であれば1年8ヶ月でコストの回収が可能です。
このように費用対効果が大きく変わるため、脱水機が本当に必要かどうかは廃水量と汚泥量で決まるといえます。
小規模廃水であれば小型排水処理装置で対応可能
廃水量が1日2,000L以下の小規模の場合は、脱水機を導入せずに小型排水処理装置で対応できます。
ネクストリーの小型排水処理装置ANシリーズは脱水機を使用せずに自然ろ過を採用しているため、比較的安価でご提供が可能です。
バッチ式で1回につき200〜2,000Lの廃水を処理できます。
脱水機を導入すべきかネクストリーにお問い合わせを
脱水機は多くの方式と種類がありますが、導入するにあたって安価でも1台あたり数百万円のイニシャルコストが発生します。
投資すべきかどうかお悩みの方は、まずは廃水量と汚泥量を確認してみましょう。
脱水機を導入すべきかわからない方は、お気軽にネクストリーまでお問い合わせください。
お客様の現状をヒアリングさせていただき、最適な処理方法をご提案いたします。