最適な薬剤選定(高濃度塩廃水)

先日、高濃度塩廃水が届きました。

弊社では日々様々な廃水の凝集試験を行っておりますが、非常に処理が困難な廃水でした。

理由としては、酸系の薬品は非常に反応しますが、ナトリウムやカルシウム系のアルカリ剤が塩水中ですぐに結晶化してしまい全く反応してくれませんでした。

・・・つまり。
一旦廃水pHが酸に傾いてしまうと中性に戻すのが非常に困難になると言うことです。

通常の凝集処理のメカニズムとしては

①凝結反応
無機凝集剤(硫酸アルミ系や塩化アルミ系、塩化鉄系)を使用しSS分をフロック化する。

②pH調整
上記①は酸性ものモノが多く処理水のpHと③の凝集処理を考慮した最適なpHに調整する必要があります。

③凝集処理
廃水にあった高分子凝集剤を選定し①で凝集したフロックを成長させフロックを粗大化します。これによって攪拌停止後の凝集したフロックの沈降性を向上させます。

と、こうなる訳ですが、今回の廃水の場合、上記工程①を経た後に②が出来ないと言う壁に直面しました。

弊社の一剤型凝集剤も当然、上記①~③の工程を一剤で行っているだけで処理の内容としては変わりません。

更に、上記①も何系の無機凝集剤を使用するかによってフロックの大きさや上澄みの清澄性、処理後のpH値と大きく結果に差が出ます。これは対象としている廃水の性質によるものなので、しっかりと選定する必要があります。

ただ、コストが安いから、処理が容易だからと言う理由だけで簡単に薬剤選定は出来ないと言う事です。

下記二枚の写真を見て下さい。

処理水(HB2,000ppm+バンド500ppm+水マグ5,000ppm+TA-905 6ppm)

この写真は、高濃度塩廃水に硫酸アルミニウム系の無機凝集剤とそれに合わせた②~③の工程を経て出来上がった処理水です。上澄みの透明度が若干悪く、フロックも細かいのが確認出来るかと思います。

続いて、こちらの写真をご覧ください。

処理水(HB2,000ppm+SR-1 400ppm +TA-905 6ppm)

この写真は塩化アルミ系の無機凝集剤を使用した場合の処理水の結果です。上澄みの透明度もかなり高い事が確認出来ます。フロックも1枚目の写真よりも大きいです。処理水のpHも上記2枚で全く違います。

このように、薬剤の選定一つで結果も大きく異なります。

そして、これは弊社が言う事では無いのかもしれませんが、このような処理が難しい廃水に対して、

一剤型凝集剤よりも上記のような3工程を経た処理方法の方が、お客様にとって最適な薬剤選定と提案になる場合がある

と言う事です。

なぜ一剤型凝集剤メーカーがそのような事を言うのか?それは、弊社はお客様の困ったを改善する事が最大の目的であり、その為には一剤型凝集剤を選定する事が必ずしもそうならない事をプロとして知っているからです。

廃水の種類、処理水の目標値、お客様の現場の状況、コスト、様々な要因を考慮した上で、最適と思われる処理方法と薬剤選定を弊社は、正直にお伝えする会社です。

安心してご相談頂ければと思います。

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