ノルマルヘキサン抽出物質とは?除去するポイントを解説

「油を含んだ排水の処理に困っている…。」とお悩みではないでしょうか?

一言で油と言っても「何に由来しているものなのか?」で除去するポイントが変わってきます。

排水中の油分等を表す指標として用いられるのが、ノルマルヘキサン抽出物質です。

本記事ではノルマルヘキサン抽出物質を除去するポイントについて、分かりやすく解説します。

 

ノルマルヘキサン抽出物質とは?

ノルマルヘキサンは食油抽出溶剤として使用される物質です。

まずは概要を確認していきましょう。

油分等を表す指標

ノルマルヘキサン抽出物質は、水中の油分を表す指標として使われます。

1日あたりの平均排出水の量が50㎥以上の工場などでは、ノルマルヘキサン抽出物質を含む排水に許容限度が設けられています

一般的には鉱油が5mg/L以内、動植物油が30mg/L以内です。

基準値を超える排水を河川に放流すると、魚の死滅や悪臭の原因となります。

ただの油だけではない

ノルマルヘキサン抽出物質には動植物油脂や脂肪酸の他、ワックスや界面活性剤なども含まれます。

油を多く使用する食品工場の他に、バレル研磨を行う企業でも、お困りのケースが多いです。

処理する場合は、何に由来する排水なのかを明確にしておく必要があります。

 

ノルマルヘキサン抽出物質の処理方法

ノルマルヘキサン抽出物質を含んだ排水を放流するためには、処理をして基準値以下にすることが必要です。

代表的な処理方法を解説します。

自然浮上分離法(グリーストラップ)

水に油を入れると油が浮き上がってくることからも分かるように、水より油は軽いのが一般的です。

この比重差を利用するのが、自然浮上分離法(グリーストラップ)となります。

オイルセパレーターなどを使い、ノルマルヘキサン抽出物質を分離する方法です。

導入コストが安価なので、前処理方法として多くの企業で使用されています。

浮上分離法

装置内にマイクロバブルを送り込み、ノルマルヘキサン抽出物質を浮かせるのが浮上分離法です。

自然浮上分離法よりすばやく処理できます。

気泡を送り込む装置が必要となり、管理が難しいのが課題です。

凝集沈殿法

自然浮上分離法とは、凝集剤を使って、ノルマルヘキサン抽出物質を沈降させる方式です。

凝集沈澱法は、懸濁物質(SS)が共存している状態でも処理ができます。

しかし、ノルマルヘキサン抽出物質の種類によっては、沈澱せずに浮かび上がるのが課題です。

この場合、加圧浮上装置を使って、凝集物を浮上回収する方法が有効となります。

吸着法

活性炭などの吸着剤を充填した層に、排水を通して除去する方法です。

吸着法を用いれば、低濃度のノルマルヘキサン抽出物質でも処理できます

吸着剤は消耗品で高価なため、必ず自然浮上分離法など前処理が必要です。

 

ノルマルヘキサン抽出物質を除去する際のポイント

ノルマルヘキサン抽出物質は、放流基準値以内にするために処理が必要となります。

除去する際のポイントについて、専門家の目線で解説します。

鉱油・動植油脂類の分類を明確にする

前述したように、鉱油と動植物油で排水基準が異なります

そのため、まずは分類を明確にすることが大切です。

分類を明確にすることで、適切な処理方法を見出すことができます。

油分の由来と性質を理解する

排水中に含まれる油分は、懸濁物質(SS)に由来するものと、水の中にエマルジョン化(乳化)してしまっているものに分別可能です。

油分の大半がSSに由来するものであれば、SSを取り除きさえすれば、目標値に到達することもあります。

逆にエマルジョン化していると、SS=0mg/Lで、ノルマルヘキサン抽出物質=100mg/Lという現象も起こりえるでしょう。

性質に合わせた効果的な処理方法を検討する

排水の分類、由来と性質が分かれば、具体的な処理方法を検討します。

SSに由来するものが多い場合、まずは凝集剤を使って凝集沈殿法により、SSを取り除きましょう。

その後、吸着法で残りのノルマルヘキサン抽出物質を取り除く方法が効果的です。

エマルジョン化している排水の場合、まずは以下の方法で「乳化破壊」させる必要があります。

  • 無機塩の添加
  • 温度変化
  • 遠心力の活用

上記以外の方法では、排水のpHを酸性(pH2〜3)にするという方法も、乳化破壊には有効です。

乳化破壊により、エマルジョン化した排水が分離するので、凝集処理がしやすくなります。

検証を行う際は分析機関を利用する

実際にノルマルヘキサン抽出物質を処理する際は、検証を分析機関に依頼しましょう。

目視では除去できたかどうか判断することが難しいためです。

分析機関で検証することにより、数値を正確に知ることができます。

 

まとめ

ノルマルヘキサン抽出物質を含んだ排水処理は、油分の性質や由来により、処理方法が異なります。

適切な処理ができないと、基準値以内に下げることができずに、環境汚染の原因にもなりかねません。

ネクストリーはノルマルヘキサン抽出物質を含んだ排水処理で、長年の実績がございます。

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