湿式塗装ブース内の固化について

前回のお話しでは、湿式塗装ブース内の塗料が固化するとどのような影響が出るかについてお話させて頂きました。
 
 塗料固化







 そもそも塗料の固化は水中でどのようにして起こるのでしょうか?







 それを理解する為には、湿式塗装ブースを使用した際に循環水内で起きている事を時系列で見て行き理解する必要があります。



 水中を常に監視している訳では無いので正確な事までは把握しきれませんが、『おそらく、このような事が循環水中で起こっているであろう』と言う塗料固化のメカニズムについてお話ししたいと思います。



 そもそも大前提ですが、湿式塗装ブースは塗布する対象物に対してオーバーミストした塗料を循環水によって効率良く回収し、作業者や作業環境負荷を軽減する事を目的としております。

 

湿式塗装ブース内の固化 メカニズムについて

①湿式塗装ブース稼働時(朝~お昼)

塗装ブース稼働中(塗装中)は常に循環水と塗料が混ざり合い、循環水内の塗料の割合は塗布時間の経過と共に次第に上昇して行きます。

稼働時は常に水流(水の動き)があり、水と塗料が混在し分散した状態で流動しております。





②湿式塗装ブース停止時(昼休憩)

 循環水の循環も停止し、静置状態になります。ここで、『水と塗料』二つの比重の違う物質は静置状態により固液分離が始まります。塗料がピット内底面に堆積し始めます。

ブース写真



③湿式塗装ブース稼働時(お昼~夕方)

 お昼休憩中の静置により、塗料の堆積は多少あったものの、比較的に短時間で塗装ブースを再稼働した為、堆積した塗料も循環水流によって舞い上がり、再び循環水と塗料が混ざり合い、分散した状態で流動します。
 循環水内の塗料の割合は更に上昇。



④湿式塗装ブース停止時(夕方~翌朝)

 ②と同様、循環水の循環も停止。しかしお昼とは違い長時間に渡り『水と塗料』の固液分離が起こります。時間の経過と共に、塗料がピット内底面にどんどん堆積していきます。



⑤湿式塗装ブース稼働時(朝~お昼)

 一日経過し、翌日も作業開始と共に湿式塗装ブースを稼働させます。循環水も流動を始めますが、長時間堆積した塗料は一部だけ舞い上がり、残りは堆積状態を保持します。

この①~⑤のサイクルによって日に日に堆積塗料が増えていきます。

ブース廃水

 溶解度と言う言葉もありますが、塗料も一定の割合は水に溶解します。しかし溶解度を超えれば静置状態で堆積し、更に塗料濃度が上昇すると共に循環水流があってもどんどん沈降、堆積は加速します。
 ブースピット内の特に水流の弱い箇所等は、その堆積が如実に現れます。

 塗料堆積

 このような流れで堆積が加速すると自重圧密も加速し固化するものと思われます。これを半年~一年継続した結果、上記写真のような状態になります。

 

まとめ



 今回は、固化のメカニズムについて少しお話しさせて頂きました。このように固化の仕組みが理解出来れば、対策も講じる事が出来るかと思います。


 前回と同じまとめとなりますが、次回は、この固化を防ぐ為にどのように日々管理していけば良いかについてお話したいと思います。

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