沈殿槽で汚泥が浮上してしまう!原因と対策をわかりやすく解説

「沈殿槽で急に汚泥が浮上してしまい困っている…。」とお悩みではありませんか?

普段は装置の下部から取り除けるはずの汚泥が浮上してしまい、困った経験がある人もいるかもしれません。

これまで沈澱していた汚泥がなぜ浮上してしまうのでしょうか?

本記事では、汚泥が浮上する原因と対策を水処理のプロとしてわかりやすく解説します。

 

汚泥が浮上する原因

通常は沈澱している汚泥が浮上する主な原因は以下の3つです。

  1. 懸濁物質がそもそも浮上しやすい性質である
  2. 水温が高い
  3. 水中にが発生する

この中でも原因として最も多いのが泡の発生です。

撹拌機やエアー装置による発泡もあれば、水が腐敗して発生する硫化水素による発泡もあります。

この泡が汚泥を抱きかかえることにより、水面に浮上してくるのです。

発泡の原因となる水の腐敗は水温や水流にも左右されるので、気温が上がる夏場や水の循環を止めている長期休み明けは、汚泥が浮上しやすいといえるでしょう。

 

沈殿槽で汚泥が浮上して起こるトラブル

汚泥が浮上すると、以下のようなトラブルが発生します。

  • 上澄みと一緒に汚泥が流出する
  • 水を抜くときにタンクの壁面が汚れる
  • 悪臭の原因となる

沈殿槽は汚泥が浮上することを前提に作られていません。

汚泥が浮上してしまうと想定外の対応が発生して多大な労力がかかるため、沈殿槽では汚泥を浮上させないための予防が必要不可欠です。

 

汚泥を浮上させないための対策

沈殿槽でのトラブルを未然に防ぐためにも、以下の対策を講じて汚泥を浮上させないようにしましょう。

  • 泡の発生を抑制する
  • 消泡剤を使用する
  • 凝集剤を変更する

それぞれを少し詳しく確認していきます。

泡の発生を抑制する

沈殿槽で泡が発生する要因は数多くあるので、1つずつ要因をチェックしていきましょう。

  • 攪拌機が必要以上に強くなっていないか
  • 水が高いところから沈殿槽に落ちていないか
  • 水温が上昇していないか

これらの要因が重なって泡が発生している場合もあります。

過去には撹拌機や配管を改良することで、泡が抑えられた事例もありました。

泡が一時的に発生している場合は、焦らず消えるのを待つのも1つの方法です。

泡は時間が経過すると自然に小さくなり、泡が消えることで汚泥が沈殿する場合もあるでしょう。

消泡剤を使用する

泡が消えない、泡の発生を未然に抑えたい場合は、シリコン系の消泡剤という薬品を使う方法もあります

泡に向かって消泡剤をスプレーすれば泡を消すことができ、水中にあらかじめ消泡剤を入れておけば泡の発生を防ぐことが可能です。

シリコン成分は濃度が下がると泡が発生するデメリットがあります。

常に消泡剤を使うことはせずに、緊急時に備えて準備しておくと良いでしょう。

凝集剤を変更する

泡は時間が経つと消えるという性質があるので、汚泥の凝集処理は数回に分けた方が泡が発生しにくくなります

凝集剤の中には1回の工程で凝集処理が完了するものもあるので、凝集剤を変えるのも1つの方法です。

凝集剤を複数の薬剤に変更することで手間は増えますが、泡が発生しにくくなるので、汚泥の浮上にお困りの際は検討してみましょう。

 

まとめ

汚泥が浮上する原因の多くは泡の発生です。

泡の発生を抑えることで、汚泥の浮上によるトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

もし急に汚泥が浮上した際は、何か変化点がないか幅広く調査することが大切です。

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