「生物処理がうまくいかなくなって困っている…!」というお悩みを持つ人は、曝気(ばっき)を見直すことで改善する可能性があります。
本記事では生物処理における曝気の役割や曝気槽の仕組み、トラブルについてわかりやすく解説しています。曝気について知りたい方は必見です。
目的
生物処理における曝気の役割
曝気(ばっき)とは、排水などの液体に空気を供給することで水中の酸素濃度を増加させる処理のことです。水質の改善や生態系の保持、有機物の分解など様々な場面で活躍しています。生物処理における曝気の役割は以下のとおりです。
- 活性汚泥の増殖を助ける
- 悪臭を防止する
それぞれの役割について詳しく確認していきましょう。
活性汚泥の増殖を助ける
生物処理における曝気の最も重要な役割は、水中の酸素濃度を増加させて活性汚泥の増殖を助けることです。活性汚泥には酸素を好む「好気性微生物」が住んでおり、活動しやすい環境を整えることで増殖しやすくなります。
曝気によって活性汚泥が増殖することで、水中の有機物を分解する動きが活発になるため、BODやCODを低下させることにつながります。活性汚泥による生物処理については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
参考記事:活性汚泥法とは?代表的な2つの種類をわかりやすく解説
悪臭を防止する
曝気は水中に空気を供給することによって水中の酸素濃度が豊富な状況の維持が可能です。好気性微生物の活動は活発になりますが、空気を嫌う「嫌気性微生物」は活動できない環境となります。
嫌気性微生物も有機物の分解で活用されますが、分解時にメタンや硫化水素といったガスを発生させるのが特徴です。硫化水素は「腐った卵」のような臭いがすることで有名であり、身近なところではドブ川やヘドロの臭いを想像するとわかりやすいでしょう。
ドブ川やヘドロのように酸素が行き渡っていない状況では悪臭が発生しますが、曝気を行うことで嫌気性微生物が活動を抑えられるため、悪臭の防止につながります。
生物処理における曝気槽の仕組み
曝気が最も活用されているのが、生物処理における曝気槽です。曝気槽は主に下水処理場や工場の排水処理設備で設置されており、以下のプロセスで排水の有機物を処理しています。
- 曝気槽に処理する原水が流れ込む
- 曝気槽の底にある散気管から空気が送り込まれる
- エアーポンプによって水を撹拌する
- 水中に酸素が溶け込むことによって微生物の活動が活発になる
- 微生物によって有機物が分解される
もし曝気槽に空気が送り込めない状況になると、好気性微生物の活動が阻害されてしまうため、効果的な生物処理ができなくなります。
曝気槽でのトラブル事例
仮に工場の非稼働日が続いて排水処理する必要がなくても、曝気槽は常に曝気を行って好気性微生物にとって快適な環境を作り出す必要があります。曝気が止まる、酸素濃度のバランスが崩れるなど不具合があった場合、以下のトラブルが起こる可能性もあります。
- 発泡:さまざまな要因で曝気槽の水が発泡する
- 黒色化:普段は茶色い曝気槽の水が微生物が死滅することで黒くなる
- 処理水の白濁化:微生物の動きが悪くなり、原水の有機物を処理しきれていない
上記のようなトラブルを防ぐためにも、曝気による水中の酸素濃度の管理を欠かさないようにしましょう。
活性汚泥の増殖促進と悪臭防止出来るアクアブラスター
「アクアブラスター」は、排水処理における先進的な散気管で、従来の散気管と異なり、高い酸素溶解力と強力な撹拌力を備えています。
曝気槽にアクアブラスターを導入することで、効率的に酸素を供給し、活性汚泥に含まれる好気性微生物の活動を促進します。その結果、BODやCODといった有機物の除去効率が向上し、処理水の質も改善されます。
また、アクアブラスターは水槽全体に酸素を行き渡らせるため、嫌気性微生物の活動が抑えられ、悪臭の原因となる硫化水素などの発生も防止されます。さらに、圧力損失が少ないため、従来のディフューザーと比べて電力消費を抑える事ができ、ランニングコストの削減にも貢献します。
アクアブラスターの導入により、活性汚泥の増殖促進と悪臭防止を同時に実現し、排水処理の品質と効率を効果的に向上させることができます。
また設置する際は、曝気槽を一旦空にした状態で、底部に配管工事を行うことが理想的です。
曝気槽のスリム化が期待できる『AT-BCシステム』
活性汚泥法に欠かせない曝気槽ですが、排水の性状や量が変わってしまい、既存の大きさでは処理が追いついていない現場が数多く存在します。処理能力を上げるためには曝気槽を増設する必要がありますが、コストやスペースの問題で実現が難しい現場が多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが曝気槽の上部に生産ラインを稼働させたまま設置できる生物膜処理装置AT-BCシステムです。AT-BCシステムは、バチルス菌を添加したへちま状の接触体に排水が触れることによって有機物やBODを処理するため、上記の画像の通り、曝気槽に後乗せすることで排水処理の能力を上げられます。
AT-BCシステムを導入することで排水中の有機物やBODの値を劇的に減少させられるため、結果として曝気槽自体をスリム化することも可能です。
曝気は生物処理には欠かせない
水中の酸素濃度を適切に維持する曝気は、微生物の働きを活用して水をきれいにする生物処理において欠かせない処理です。活性汚泥法で起きる問題の多くは、曝気に起因するものであり、曝気の方法を見直すことで解決することも珍しくありません。
生物処理において曝気にお困りの方はミズサポまでご相談ください。お客様の現状をヒアリングさせていただき、最適な方法をご提案いたします。