排水処理の膜ろ過とは?3つの種類や相談できる企業を紹介

排水処理の膜ろ過とは?3つの種類や相談できる企業を紹介

「排水処理には膜ろ過が良いと聞いたけれど、何でもキレイにできるの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。

膜ろ過は、皆さんも理科の授業で実験したことがある「ろ過」を応用した排水処理技術です。仕組みはシンプルですが、膜の種類を間違えると効果を発揮できないどころか、余計なメンテナンスコストが発生する可能性もあります

本記事では排水処理の膜処理について、有効なケースや膜の種類、デメリットなどをわかりやすく解説しています。膜ろ過について知りたい方は必見です。

排水処理の膜ろ過とは?

画像引用:東京都水道局「膜ろ過のイメージと模式図」

排水処理における膜ろ過とは、汚れた水を微細な穴があいた膜に通して、水と不純物を分離することです。理科の実験で行った「ろ過」をイメージするとわかりやすいでしょう

上の画像では、ザルが「ろ過膜」となっており、水の中にある粒子が大きい不純物を取り除いていることがわかります。ザルの目が「穴の大きさ」であり、粒子の大きさによってろ過膜の種類を変えることで、水をキレイにする処理方法です

排水処理で膜ろ過が特に有効なケース

排水処理で膜ろ過が特に有効になるのは、主に以下のケースです。

  • なるべく手間をかけたくない
  • 排水を再利用したい

それぞれのケースを具体的に確認していきましょう。

なるべく手間をかけたくない

膜ろ過は設備を導入するとほぼ全自動で排水処理ができるため、他の方法と比べて手間がかかりません。除去したい不純物の大きさに応じて膜を選定し、その膜の中を通すだけで汚れた水がキレイになります。

薬品処理の場合、汚れた水の量や不純物の濃度によって、薬品の投入量を変化させる必要がありますが、膜ろ過は水量や水質に左右されないため、調整の手間が最小限で済むのが特徴です。

水量や水質の変化が大きく、薬品投入の調整が大変という現場では、膜ろ過を活用した排水処理が向いているといえます。

排水を再利用したい

工場で使用して汚れた水は、膜ろ過で水処理することで、排水せずに工場用水として再利用できる可能性があります。排水の再利用ができれば、工場の取水量・排水量の削減となり、環境に配慮しているとアピールすることが可能です

ただし、排水を再利用する場合は、膜ろ過で処理した水が製造する製品に影響がないか自社で判断する必要があります。もし同じ工程で再利用が難しいと判断した場合は、水洗トイレや清掃用水といった製造以外の用途で使用するなど、工場全体で排水を再利用するシステムを考えましょう。

排水処理における3種類の膜ろ過

画像:粒子の大きさと分離方法のイメージ

膜ろ過では主に以下の3種類が使用されます。

  • MF膜(粗目)
  • UF膜(中目)
  • RO膜(細目)

名前だけ見ると混同してしまいそうですが、膜の粗さが違うという認識で問題ありません。それぞれの膜の特徴を確認していきましょう。

MF膜

MFはMicro Filtrationの略で、別名「精密ろ過膜」と呼ばれています。主に0.1~1μm(マイクロメートル ※1mmの1000分の1)程度の粒子や細菌を除去する、3種類の中では最もザルの目が大きい水処理膜です

MF膜は工業用水の前処理ろ過や、後ほど解説するRO膜の目詰まりを防ぐためのフィルターとしても使用されています。家庭用の浄水器にも活用されており、幅広い用途で使用できるのが特徴です。

UF膜

UFはUltra Filtrationの略で、別名「限界ろ過膜」と呼ばれています。MF膜よりザルの目は小さく、1μm~1nm(ナノメートル ※1mmの100万分の1)程度の粒子やウィルスなども除去できる水処理膜です

海水を淡水化する装置の前処理で使用されたり、排水処理のフィルターとしても使用されています。

RO膜

ROはReverse Osmosisの略で、別名「逆浸透膜」と呼ばれている、3種類の中で最も緻密な水処理膜です。水は通しますが、イオンや塩などの不純物は通さないという性質を持っています。

RO膜は1nm~0.1nmという水に溶け込んでいるナノレベルの分子やイオンの除去が可能です。水分子よりも大きな不純物は通過させない一方で、ザルの目が非常に細かいのでMF膜などの前処理が必須となります。

排水処理における膜ろ過のデメリット

排水処理における膜ろ過は、高い精度で微生物や水に溶解した物質の除去を手間をかけずに行えるメリットがある一方で、以下のデメリットもあります。

  • 高額の初期費用が必要
  • 膜の目詰まりや劣化によるメンテナンスが必要

膜ろ過の設備は、MF膜とRO膜を組み合わせて使用するなどシステム化されているものが多く、他の排水処理設備と比較して高額になります。排水量や排水の種類にもよりますが、安くても数百万円の高額な初期費用が必要です

また膜ろ過にはファウリングと呼ばれる目詰まりの問題があり、定期的にメンテナンスが必須となります。メンテナンス頻度を抑えるためには、設備導入前に試験を繰り返し行って、目詰まりを起こしにくくする前処理設備を入れるなどの準備が必要です

膜ろ過は優秀な排水処理技術ですが、導入する前に上記デメリットについても十分に検討しましょう。

膜ろ過を使った排水処理を相談できる企業

膜ろ過を使った水処理を検討したい方は、以下の企業に相談するのも1つの方法です。

  • 株式会社ネクストリー
  • ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社

それぞれの企業の特徴を確認していきましょう。

株式会社ネクストリー

株式会社ネクストリーは富山市にある排水処理の専門メーカーで、1日の排水量が10m3の小規模排水を得意としています。最も得意とするのは、独自技術で開発した粉末一剤型凝集剤を使う薬品処理ですが、膜ろ過の提案もできる企業です。

排水処理に関する幅広い知識を持っている企業ですので、膜ろ過に限らず排水処理にお困りの方は相談してみましょう。

■株式会社ネクストリーのホームページはこちら

ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社

ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社は、総合化学メーカーの株式会社ダイセルと工業用フィルターメーカーのセントラルフィルター工業株式会社の合同出資で誕生した企業です。

ダイセン・メンブレン・システムズは膜原料からUF膜やRO膜のモジュールまで、一貫して製造できます。ユーザーのニーズに合わせて、前処理や複数モジュールの提案など、膜ろ過に関してトータルでのサポートができる企業です

■ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社のホームページはこちら

排水に応じた膜の種類を選ぶのが大切

手間をかけずに汚れた水中にある微細な粒子や溶解した物質を処理できるのが、膜ろ過の最大のメリットです。しかし、設備の初期費用が高額となる場合が多く、メンテナンスでのランニングコストも発生するため、導入前に試験を行い、排水に応じた膜の種類を選ぶ必要があります

ミズサポでは、排水処理に関するお問い合わせを受け付けております。お困りごとをヒアリングさせていただき、膜ろ過の提案に加えて、膜と薬品などの組み合わせによる、適切な排水処理方法をご提案が可能です。ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

お気軽にご相談ください

お問い合わせ