嫌気処理とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

嫌気処理とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

「生物処理の中に嫌気処理というものがあると聞いたけれど、どのような場合に活用するのかわからない…。」とお悩みではありませんか?

嫌気処理は、高濃度有機排水に強い生物処理です。

本記事では、嫌気処理の概要や仕組み、メリットやデメリットなどを網羅的に紹介し、好気処理との使い分け方についても解説しています。

嫌気処理について、詳しく知りたい方は必見です。

嫌気処理とは?

嫌気処理は、酸素のない環境(嫌気条件下)で、嫌気性微生物の働きを利用して、排水の有機物を分解する生物処理法の一つです。

高濃度の有機排水の処理に適しており、BOD数千〜数万 mg/L以上のような高濃度排水は、好気処理では費用がかかりすぎるため、まず嫌気処理で負荷を落とします。

嫌気処理の仕組み

嫌気処理の基本的な仕組みは以下のとおりです。

  • 嫌気性微生物を活用する
  • 発酵・分解の反応で有機物を処理する
  • 汚泥の発生が少なく、エネルギー回収も可能

それぞれを少し掘り下げて確認していきましょう。

嫌気性微生物を活用する 

嫌気処理では、酸素がない環境で活動する「嫌気性微生物」が排水の汚れを分解します。これらの微生物は呼吸の代わりに、硝酸や硫酸など、排水中に含まれる物質を利用してエネルギーを作るのが特徴です。分解の過程で、硝酸や硫酸は窒素ガスや硫化水素といった別の形に変わっていきます。

嫌気性微生物は一種類だけで働くわけではなく、役割ごとに段階的に連携して処理を進めます。例えば、まず汚れを酸に変える微生物が働き、次にその酸をガスに変える別の微生物が続く、といった流れです。このようにチームで役割を分けながら処理することで、排水中の有機物や窒素などの成分を効果的に減らせます。

発酵・分解の反応で有機物を処理する

嫌気処理は大きく次の3段階で進行します。

  1. 加水分解
  2. 酸や酢酸生成
  3. メタン生成

まず汚れの大きな分子が小さく分解され、そのあと別の微生物がそれらを酸や酢酸に変えていきます。メタン生成菌と呼ばれる微生物がそれらを分解し、最終的にメタン(CH₄)や二酸化炭素(CO₂)といったガスへと変えていく仕組みです。

この仕組みは食品が発酵していく流れにも似ており、設備内では常に微生物が連携しながら処理を進めています。

汚泥の発生が少なく、エネルギー回収も可能

嫌気処理の大きなメリットは、処理の過程で発生する汚泥が少ないことです。嫌気性微生物はゆっくり増えるため、余分な汚泥があまり出ず、引き抜きや処分にかかる手間やコストを抑えられます。

処理の途中で発生するメタンガスは、燃料として利用可能です。設備によっては、ガスを使っての自家発電や、ボイラーの燃料として再利用している事例もあります。排水処理と同時にエネルギーを生み出せる点は、環境配慮や省エネに取り組む企業から注目されている特徴です。

嫌気処理のメリットとデメリット

嫌気処理は優れた生物処理方法ですが、万能ではありません。メリットとデメリットを理解し、排水特性に応じて導入を検討することが大切です。ここからは嫌気処理のメリットとデメリットを確認していきましょう。

メリット

嫌気処理のメリットは、処理中に出る汚泥がとても少ないことです。嫌気性微生物は酸素を必要とせず、増えるスピードもゆっくりなので、好気処理と比べると余剰汚泥が大幅に減ります。結果として、汚泥の引き抜きや搬送、処分にかかる費用を抑えられます。

処理の過程で生まれるメタンガスを回収すれば、ボイラー燃料や発電に利用することも可能です。うまく活用すれば、排水処理そのものがエネルギーを生み出す「循環型システム」になります。

設備自体も比較的コンパクトに設計できるのもメリットです。

デメリット

嫌気処理には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。まずは微生物が活動できるまでに時間がかかるため、運転開始から安定処理に入るまで、好気処理より立ち上がりが遅いことです。

また嫌気性微生物は温度やpHの変化に敏感で、急に排水性状が変わると処理が不安定になります。

処理中に硫化水素やアンモニアなどの臭気ガスが発生するのもデメリットの1つです。設備構造や管理が適切でないと、臭いがトラブルにつながる可能性があります。

好気処理との違いと使い分け方

項目好気処理嫌気処理
微生物の種類好気性微生物(酸素が必要)嫌気性微生物(酸素を嫌う)
酸素供給必要不要
臭気少ない発酵臭・硫化水素臭が出やすい
処理速度速い遅い
汚泥発生量多い少ない
運転コスト高い低い
発生ガスなしメタンガス(燃料として利用可)
安定性負荷変動に強い温度やpH変化に敏感
適した排水低〜中濃度の有機排水(BOD数百mg/L程度)高濃度の有機排水(BOD数千〜数万mg/L)
主な用途食品、飲料、日用品、塗装、メッキ食品残渣、製糖、酒造、畜産、製紙など

上の表は嫌気処理と好気処理を比較したものです。好気処理と嫌気処理を使い分けるための判断基準は以下の2つがあります。

①排水の濃度で判断する方法

  • BODやCODが高い排水の場合は、嫌気処理が有利。ガス回収も可能。
  • 低~中濃度排水の場合は、好気処理の方が安定する。

②処理目的で判断する方法

  • 最終的に放流するのであれば、水質がキレイになる好気処理が適している。
  • 有機物削減やエネルギー回収が目的であれば、嫌気処理を選択する。

多くの工場では、嫌気処理と好気処理のメリットを最大現に発揮するため、両者を組み合わせる二段処理方式(ハイブリッド型)が一般的です。

好気処理については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

参考:好気処理とは?嫌気処理との違いや使い分け方をわかりやすく解説

嫌気処理を検討しているならミズサポまでお問い合わせを

嫌気処理は、高濃度の有機物を含む排水を効率よく処理できる一方で、好気処理より立ち上がりが遅く、臭気の問題などデメリットもあります。新規の導入や更新を検討する場合は、設備設計から管理についての指導まで一括でサポートしてくれる企業に相談することが大切です。

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