「排水処理装置のポンプが壊れてしまった!」とお困りではありませんか?
ポンプの故障原因は様々であり、内容によっては自社では対応できず、専門業者への依頼が必須の場合があります。
本記事ではポンプが故障する原因や修理方法をわかりやすく解説しています。ポンプの修理についてお困りの方は必見です。
目的
ポンプは排水処理装置で重要な存在
ポンプは液体や気体を移動させるための装置です。重力だけでは流れない場所や高低差がある設備ではポンプの力が不可欠であり、排水処理においても以下のような用途で重要な役割を担っています。
- 廃水や汚泥の移送
- 薬品の定量注入
- 浮上物の回収
上記以外にも、ポンプは排水処理の多くの用途で使用されており、故障すると安定稼働ができなくなります。
排水処理装置を効率的かつ安定して運用するには、適切なポンプの選定に加え、故障を防ぐための定期的なメンテナンスを行なうことが大切です。
ポンプ故障の主な原因
ポンプが故障する主な原因は以下のとおりです。
- 閉塞運転による故障
- 高温環境による部品の故障
- 腐食による部品の故障
- 過負荷による故障(サーマルトリップ)
- 回転軸のロックによる故障
- ベアリングの故障
それぞれの故障原因を深掘りして解説していきます。
閉塞運転による故障
まずはポンプの閉塞運転による故障を確認していきましょう。閉塞運転が起こる場所は吐出側と吸引側の2つに分けられます。
吐出側
吐出側の配管が異物で詰まったり、バルブを閉じた状態でポンプを運転させたりすることで起こる故障です。長時間吐出側の閉塞運転が続くと、ポンプ内部にある液体の温度が徐々に上がり、内部の部品が故障するリスクが高まります。
異物を分離するストレーナーという部品や、圧力を逃がすリリーフ弁(安全弁)の設置が有効です。
吸引側
吸引側の閉塞運転は、流体を吸い込まない「空運転」であり、ポンプでは厳禁です。
ポンプは通常、液体を移送することで冷却される設計になっているため、液体がない状態で稼働させると、内部のパーツが焼けてしまう可能性が非常に高く、すぐに故障してしまいます。
空運転はモーノポンプ、渦巻きポンプ、ダイヤフラムポンプなど、あらゆるポンプで厳禁であり、ポンプはノードライで使用するのが鉄則と覚えておきましょう。
高温環境による部品の故障
ポンプは耐熱温度が仕様で定められており、それを超えた液体を扱うとモーターやインペラが高温にさらされて故障してしまいます。また流れる流体が高温だと、シール部やパッキンの劣化スピードも早くなるので注意が必要です。
そのため、ポンプを導入する際は、使用する液体の温度条件を明確にしましょう。
また、高温の液体を流す時は、あらかじめ耐熱性の高いポンプを使用し、液位が下がって空運転の状態にならないように液位の監視センサーを設置することも効果的な対策です。
腐食による部品の故障
塩酸や硫酸など腐食性の高い薬品が混ざった液体を扱う場合は、インペラやポンプハウジングなど液体に触れる部品が早期に劣化する原因となります。腐食による部品の故障を防ぐためには、あらかじめ耐腐食性の高い材質を選ぶ必要があります。金属であればステンレス、樹脂であればフッ素樹脂系のPTFEが代表例です。
過負荷による故障(サーマルトリップ)
ポンプのモータに過負荷がかかった場合は、サーマルトリップと呼ばれる回路を遮断する現象が起こります。一時的なサーマルトリップであれば、サーマルスイッチのリセットボタンを押すことで復元しますが、定期的に起こるようであれば、ポンプの経年劣化が疑わしいです。
経年劣化によって、ベアリングや駆動部、インペラが摩耗していたり、モータ自体の絶縁抵抗が下がることが主な原因のため、定期的なオーバーホール(分解点検)が対策となります。
回転軸のロックによる故障
ポンプの回転軸がロックした場合、ポンプが正常に稼働しないため、モーターの焼損や破損につながります。回転軸がロックする主な原因はベアリングの摩耗や焼き付きです。
回転軸がロックした場合、まずはポンプの電源を落として手動で軸が回るか確認しましょう。部分的に引っかかる程度であれば、異物の嚙み込みが原因のことが多く、取り除けば直ることもあります。回らない場合はベアリングが焼き付いている可能性が高いため、専門業者に修理を依頼しましょう。
ベアリングの故障
ポンプから異音や振動が発生している場合は、ベアリングの故障が考えられます。
ベアリングが故障する主な原因はメンテナンス不足によるグリスやオイル切れです。グリスやオイルを塗布することで、異音が収まる場合もあるので、まずは試してみましょう。それでも症状が直らない場合は、摩耗による芯ずれや焼き付きが原因の可能性が高く、専門業者による診断が必要です。
ポンプの修理方法
故障内容 | 修理方法 | 社内での対応 | 専門業者への依頼 |
パッキンやOリングの劣化 | パッキンやOリングの交換 | △ ※交換部位による | 〇 |
異物による目詰まり | ストレーナーや吸込口の清掃 | 〇 | △ |
駆動部の故障 | シャフトやインペラの交換 | ✕ | 〇 |
腐食による部品交換 | 腐食した部品の交換 | ✕ | 〇 |
異音や振動の発生 | ベアリングの交換 | ✕ | 〇 |
モータの過負荷 | サーマルスイッチのリセット、部品の交換 | △ ※サーマルスイッチのみ | 〇 |
上の表はポンプの故障内容と修理方法について簡単にまとめたものです。ポンプのユーザーで対応できるものは一部の部品交換と日頃の清掃作業に限られます。
パッキンやOリングの交換は、配管のフランジパッキンなど簡単なものであればユーザーでも対応可能ですが、部品のはめ込み部分はパッキンの取付ミスで液体漏れが起こる可能性もあり、専門業者へ依頼した方が確実です。
逆にストレーナーや吸込口は定期的に清掃することでポンプの寿命が確実に伸びます。専門業者に依頼するよりも、日頃からポンプに愛着を持って清掃することが大切です。
ポンプの修理でお困りであればミズサポまでお問い合わせください
ポンプは排水処理装置の中でも高額であり、できれば修理して長く使いたいというお客様が多いでしょう。しかし、口径50A(約60mm)以下の小型のポンプや、修理費用が新品の3分の2を超える場合は、修理するより新品の購入をおすすめしています。
排水処理装置で重要な役割を担うポンプは、定期的にメンテナンスを行って、必要に応じて修理する必要があります。しかし、前述したとおり、ユーザーで対応できる内容は限られているため、異変を感じた際に相談できる業者とつながりを持っておくことが大切です。
もし、ポンプの修理でお困りであればミズサポまでお問い合わせください。事前に状況をヒアリングさせていただき、ポンプの修理やメンテナンスに強い業者を紹介させていただきます。