アルミダイカストなどの切削で出るクーラント廃液の処理方法を解説

アルミダイカストなどの切削で出るクーラント廃液の処理方法を解説

「クーラント廃液を排水処理して産業廃棄物のコストを下げたい!」とお考えではありませんか?

クーラント廃液に限らず産業廃棄物の処理費用は年々高騰しており、できるだけ安価に処理したいと考える人も多いでしょう

本記事では、クーラント廃液を排水処理してコストを削減する方法を解説しています。廃棄量ごとの処理方法の選び方についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

クーラント液とは?

クーラント液とはアルミダイカストなどの金属加工に使用される切削油のことです。切削加工中に発生する摩擦熱を吸収して、工具やワークの温度を下げる役割を担います。同じ名前でエンジンの冷却水用クーラントがありますが、切削加工用のクーラント液とは全くの別物です。

切削加工用のクーラント液は装置内で循環して使用されますが、劣化によって冷却や潤滑性能が低下するため、定期的に入れ替えを行う必要があります。その際に発生するのがクーラント廃液です。

クーラント廃液の処理が難しい理由

凝集沈殿法や生物処理など一般的な排水処理では排水基準を満たすことができません。
処理が難しい主な理由は以下の通りです。

  • 界面活性剤が含まれており、水と油が分離しにくい
  • 高濃度の難分解性の有機物が含まれており生分解性が低い(合成油、合成樹脂等)
  • 粘性が高く、固形分が微細なため、沈殿しにくい
  • CODとBODが高い

これらの要因により、クーラント廃液は一般的な処理方法だけでは処理が難しいため、膜処理や蒸留などの高度な処理技術を組み合わせる必要があります。

クーラント廃液の処理方法

クーラント廃液の処理方法には以下があります。

  • 廃液のままで産業廃棄物として処分する
  • 膜処理を使ってろ過する
  • 減圧蒸留で分離する

それぞれの処理方法を掘り下げて確認していきましょう。

廃液のままで産業廃棄物として処分する

クーラント廃液は1日あたりの発生量が1,000L未満の場合、排水処理設備を導入するよりも産業廃棄物で処理する方がコスト的に安価となります。

しかし、近年は地域や処分業者によりますが、最終処分場の容量不足や人件費高騰などが原因で産業廃棄物コストが上昇傾向です。この傾向は今後も続くことが予想されるので、数年後の廃棄量を見越して、設備の導入を検討しておくことが大切です。

膜処理装置を使ってろ過する

クーラント廃液は「膜」と呼ばれるユニットに通すことで、排水処理できます。膜処理は理科の実験で行ったろ過をイメージすればわかりやすいでしょう。

クーラント廃液の処理ではUF膜(Ultra Filtration、限界ろ過膜)で処理が可能です。また膜処置の導入目安は、廃液の量が1時間あたり100L未満程度です。

膜処理を使った排水処理については以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

参考:排水処理の膜ろ過とは?3つの種類や相談できる企業を紹介

減圧蒸留で分離する

クーラント廃液は減圧蒸留と呼ばれる方法で濃縮廃液と蒸留水に分離が可能です。減圧蒸留とは、装置内の圧力を低くすることで水分の沸点を低くする方法であり、大気中で100℃の水の沸点を50℃程度まで下げられます。

沸点を下げることで低温でも水分が蒸発していくため、効率的な分離が可能です。減圧蒸留でクーラント廃液の産業廃棄物量とコストを約90%削減できた事例もあります。

減圧蒸留については以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

参考:減圧蒸留を活用した排水処理とは?処理の特徴や装置について解説

クーラント廃液の処理方法を決める発生量の目安

クーラント廃液の発生量処理方法
1日 1,000L以下廃液のまま産業廃棄物で処理する
1時間あたり 100L未満 ※24h稼働膜処理
1時間あたり 100L以上 ※24h稼働減圧蒸留

上の表はクーラント廃液の処理方法を決める際の発生量の目安を記載したものです。

クーラント廃液の発生量が1日あたり1,000L未満の場合は、膜処理や減圧蒸留設備を導入するだけのコストメリットを出せない可能性が高いため、廃液のまま産業廃棄物として処理する方が良い場合も多いでしょう。

膜処理は廃液の量に限らず排水処理できますが、膜ユニットの詰まりを防ぐための洗浄や薬品に費用がかかります。

廃液の発生量が多い場合に最適なのは減圧蒸留装置です。仮に処理水が排水基準を満たしていない場合は、後工程で膜処理を活用する場合もあります。

クーラント廃液の処理でお困りであればミズサポまでご相談ください

アルミダイカストなどの切削工程で必須のクーラント液は、定期的に交換が必要であり、その都度廃液が発生します。クーラント廃液は薬品処理や生物処理といった一般的な排水処理方法での処理が難しいため、膜処理や減圧蒸留などでの処理が必要です

もしクーラント廃液の排水処理にお困りであればミズサポまでご相談ください。お客様の状況をヒアリングして、最適な処理方法や対応できる業者をご紹介いたします。

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