「ホウ素を含む排水の処理がうまくいかない…。」とお悩みではありませんか?
ホウ素は水質汚濁防止法で排水基準が設けられている物質ですが、排水基準付近になるにつれて処理が難しくなる厄介な存在のため、排水処理にお困りのユーザー様も多いでしょう。
本記事ではホウ素を含む排水処理についてわかりやすく解説しています。具体的な処理事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目的
ホウ素を含む排水の特徴
ホウ素はゴキブリ退治に使用される「ホウ酸ダンゴ」にも使用されている物質で、医薬品や殺虫剤、防腐剤などに使用されています。工業製品ではセラミックスの製造原料として使用されている物質であり、水に溶けやすいため、セラミックスの製造現場からの排水に多く含まれているのが特徴です。
少量のホウ素は植物の生長に欠かせない存在ですが、人が過剰に摂取すると有害であり、水質汚濁防止法でも有害物質に指定されています。
ホウ素の排水基準
ホウ素とホウ酸などの化合物を含む排水は、水質汚濁防止法で有害物質に指定されており、以下のとおり一律排水基準が定められています。
- 海域以外の公共用水域に排出されるもの:10mg/L
- 海域に排出されるもの:230mg/L
参考:環境省「一般排水基準」
地方自治体によっては、この一律排水基準より厳しい上乗せ基準が適用される場合もあります。例えば、大阪府では1mg/Lと一律排水基準より10倍も厳しい数値です。
ホウ素を含む排水の処理方法
ホウ素を含む排水の処理方法は様々ありますが、代表的な方法は以下の3種類です。
- 膜分離法
- 凝集沈殿法
- 吸着法
それぞれの処理方法を具体的に確認していきましょう。
膜分離法
膜分離法とはMF膜、UF膜、RO膜という「膜」と呼ばれるユニットに排水を通すことで、ホウ素を取り除く方法です。
膜に排水を通すだけでホウ素を含む物質を除去できるため、排水処理に関する専門知識が不要なのが最大のメリットです。しかし、汚れた水を処理しようとすると膜が詰まってしまい、処理までの時間が長くなるなどのトラブルが発生します。
膜分離法について詳しく知りたい方は、以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
参考記事:膜分離とは?原理や膜の種類、活用した廃水処理などわかりやすく解説
凝集沈殿法
凝集沈殿法とは、凝集剤(ぎょうしゅうざい)という薬品を使用してホウ素を含む汚れの沈殿物を作り、それを除去することでホウ素の濃度を下げる方法です。
硫酸バンドや消石灰などの薬品でホウ素を含む排水をpH12程度のアルカリ性に上げることで、ホウ素を吸着した沈殿物が形成されます。ホウ素は水に溶けやすいという性質があるため、沈殿物からホウ素が再溶解してしまう場合もこともあるため、凝集沈殿法によるホウ素の除去は、濃度が低くなると処理が難しくなるのが特徴です。
凝集沈殿法については、以下の記事で解説しています。
参考記事:排水の凝集処理とは?処理の流れや事例をわかりやすく解説
吸着法
吸着法とは、活性炭やイオン交換樹脂など特定の吸着剤が充填された塔に排水を通すことでホウ素を除去する方法です。膜分離法と混合する人もいるかもしれませんが、膜分離法は広範囲の物質を除去できるのに対して、吸着法は特定の物質を狙って除去する方法だと覚えておくとよいでしょう。
吸着法は排水を通すだけでホウ素が処理できるため、膜分離法と同様で排水処理の専門知識が不要なのがメリットです。しかし、高濃度のホウ素を処理する場合は、吸着材の交換頻度が上がるため、ランニングコストがかかるのがデメリットだといえます。
ホウ素を含んだ排水を処理した事例
山梨県の金属加工業で、ホウ素を低減するためにホウ素処理用凝集剤を導入した事例を紹介します。この企業では以前から凝集処理沈殿法を採用しており、①苛性ソーダ→②塩化カルシウム→③高分子凝集剤というステップで処理を行っていました。
生産量が変動するとホウ素が排水基準を超えることがあり、設備変更も視野に入れて、様々な方法や薬品を試した結果、ホウ素処理剤が最も良い結果となった事例です。
このホウ素処理剤は単独で十分なホウ素除去効果があり、排水のpHをアルカリ性にしなくても良くなったので、既存の塩化カルシウムを添加する工程も省くことができました。
ホウ素を含んだ排水はミズサポまでご相談ください
ホウ素は水質汚濁防止法で有害物質に指定されている物質のため、排水処理を行って処理するのが鉄則です。膜分離法や凝集沈殿法、吸着法など色々な処理方法があり、どれを選べばよいかわからないという方はミズサポまでお気軽にお問い合わせください。お客様の状況をヒアリングさせていただき、最善な方法をご提案します。