「BODの値が排水基準を満たせなくて困った…。」というお悩みを持つ人も多いでしょう。
BODは排水に溶けていることも多く、排水基準まで数値を落とせないことが多い物質の1つです。
本記事ではBODの概要や数値を低減させる排水処理方法について解説します。BODの処理にお困りの方は必見です。
目的
BODとは?
BODとはBiochemical Oxygen Demandの略で、生物化学的酸素要求量のことです。微生物が5日間で水中の有機物を分解する際に使用した酸素の量を表すもので、水の汚れを表す指標となります。つまり、BODの値が高い=水中に微生物が分解する有機物が多い=水中に汚染物質が多いということです。
BODと混同されやすいのが、COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)です。CODも水中の汚れを表す指標であり、対象となる水の中に酸化剤を投入して有機物を酸化させて、その際に消費した酸素の量で表します。CODについては以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
参考:CODとは?BODとの違いや排水基準、低減させる方法を解説
BODの排水基準
BODは水質汚濁防止法の「生活環境項目」として、以下のとおり排水基準が定められています。
■BOD(生物化学的酸素要求量)の一律排水基準:160mg/L(日間平均120mg/L)
一律排水基準はBODもCODも同じです。ただし、地方自治体によって、さらに厳しいBODの基準が定められていることがあるため、県や市に排水基準を確認することが必要となります。
水質汚濁防止法の排水基準について詳しく知りたい方は、以下の記事でも詳しく解説していますので、ご確認ください。
参考記事:流せる基準値は?
BODを低減できる排水処理方法
BODを低減できる排水処理は以下3つの方法が一般的です。
- 薬品処理
- 物理処理
- 生物処理
3つの排水処理方法について概要を確認していきましょう。
薬品処理
薬品処理は、一般に凝集剤(ぎょうしゅうざい)と呼ばれる薬品を使用して、水中にある汚れを集め、水と固形物を分離することで水をきれいにする方法です。この方法は比較的低コストで、大規模な処理が可能であることがメリットです。そのため、他の排水処理の前工程としてよく活用されています。
薬品処理では、主にSS(浮遊物質)などの不溶性の汚れを除去するのに適しています。
しかし、溶解性BOD(水中に溶けている有機物による酸素消費量)については、薬品処理だけでは十分に除去できない場合が多く、特に食品工場などから排出される有機系の排水では薬品処理のみでは基準値をクリアできないことが一般的です。
溶解性のBODを低減するためには、微生物による分解が必要なため、薬品処理に加えて生物処理などの工程を組み合わせることで、効果的な処理が可能です。
また、透き通った排水やSSが少ない排水では、薬品を加えても固液分離が進まず、BODの低減が難しいため、このような場合は、排水の性質に合わせた処理が必要になることがあります。
物理処理
スクリーンや沈殿槽といった物理的な方法を活用してBODを低減させる方法です。凝集剤を使った薬品処理とよく併用されます。
物理処理の中には「膜処理」と呼ばれるRO膜やUF膜、MF膜といった微細な孔があいた膜に排水を通す方法もあります。薬品処理や他の物理処理で取り切れないBODでも膜処理であれば低減可能です。
物理処理では薬品処理のように排水の状態に応じて薬品の投入量を変える必要がありません。BODを安定して低減できる一方で、目詰まりや劣化によるメンテナンスが必須であるという欠点もあります。
生物処理
生物処理は排水に含まれる有機物を微生物が分解するため、BODを低減できます。
代表的なのは「活性汚泥法」であり、微生物が有機物を食べることで、水や二酸化炭素などの物質に分解してBODを低減する方法です。
自然界に存在する微生物を活用する排水処理方法で、効率的に有機物を処理できる、環境に優しいというメリットがある一方で、設備が大型で高額になるケースが多く、排水量が少ない現場では活用が難しいのがデメリットです。
それぞれの排水処理方法については以下の記事でも解説していますので、合わせてご確認ください。
参考記事:排水処理とは?3つの排水処理方法や具体例をわかりやすく解説
BODを低減できた事例
金属加工業でバレル研磨を行っている企業では、BODやCODを含む排水が出る場合があり、排水基準を満たすために様々な処理を行っています。中には薬品処理で複数の薬品を使用しているものの、排水基準が満たせなくてお困りの企業もあります。
以下の記事は薬品の種類や排水処理の工程自体を見直すことで、BODが低減できた事例です。使用する薬品が5種類から2種類に削減でき、補充の手間が少なくなり、調整作業も大幅に削減できました。
参考:株式会社ネクストリー導入事例『金属加工業BOD・CODの低減』
高濃度のBOD処理であれば『AT-BCシステム』がおすすめ
食品工場などBODの数値が高い排水が出る業種では、生産品目や工程の見直しによって、従来の排水処理装置での処理が追いつかなくなることがあります。生物処理装置を増設しようにもスペースやコストの問題で踏み切れないというお客様も多いでしょう。
そこでおすすめしたいのがBOD負荷軽減装置AT-BCシステムです。AT-BCシステムとは、バチルス菌を添加したへちま状の接触体が排水に触れることで、BODを分解する付着式の生物処理装置となります。
能力としては、約2,000mg/L以上の高濃度であるBODを効率的に処理可能で、生物処理の水槽の上に生産ラインを止めずに設置できるため、既存の生物処理を活かしての対応が可能です。
BODの排水処理はミズサポにご相談ください
BODは水中の汚れを表す指標であり、水質汚濁防止法でも排水基準が定められているため、生物処理などで排水処理する必要があります。
水中に溶け込んでいるBODは低減しにくいこともありお悩みの人も多いでしょう。もしBODの処理でお困りであればミズサポまでご相談ください。お客様の状況をヒアリングして、最適な処理ができる業者を紹介いたします。