高分子凝集剤をわかりやすく解説!無機凝集剤との違いや選定方法を紹介

高分子凝集剤をわかりやすく解説!無機凝集剤との違いや選定方法を紹介

「最適な高分子凝集剤が選定できない…。」とお悩みではありませんか?

凝集処理において重要な役割を担う高分子凝集剤ですが、種類が多くて選定が難しいという声をよく聞きます

本記事では、高分子凝集剤の概要や無機凝集剤との違い、種類の解説、選定方法まで網羅的に解説しています。高分子凝集剤について知りたい方は必見です。

高分子凝集剤とは?

高分子凝集剤は別名「有機凝集剤」と呼ばれており、混同しやすい無機凝集剤とそれぞれ以下の違いがあります。

  • 無機凝集剤:一次凝集(凝結反応)で使用する薬品で基礎フロックを作る
  • 高分子凝集剤:二次凝集(凝集反応)で使用する薬品で粗大フロックを作る

上の画像は一次凝集を図で表したものです。水中の微細な粒子をある程度大きくするのが無機凝集剤の役割であり、できた汚れの塊を基礎フロックと呼びます

一方こちらの画像は二次凝集を表したものです。一次凝集で無機凝集剤によって作られた基礎フロックをさらに大きくする役割を担うのが高分子凝集剤となります

高分子凝集剤は小さな汚れ同士をくっつける接着剤と言い換えれば分かりやすいかもしれません。水中で汚れをくっつけて大きくすると沈殿しやすくなるため、水と汚れが分離する時間が速くなります。

高分子凝集剤のイオン性

高分子凝集剤は、以下3つのイオン性で分類されています。イオン性とは電荷の偏りを表す用語であり、陽(プラス)と陰(マイナス)があります。

高分子凝集剤の種類イオン性有効な廃水有効なpH
カチオン系有機廃水酸性~中性
アニオン系無機排水中性~アルカリ性
ノニオン系非(帯電しない)無機排水酸性~中性

上の表でカチオン系、アニオン系、ノニオン系それぞれの高分子凝集剤について、有効な廃水とpHを比較しました。しかし、こちらはあくまで目安となっており、実際はそれぞれの高分子凝集剤で凝集試験を行い、最適なものを選定する必要があります。

3つの高分子凝集剤について、もう少し掘り下げて確認していきましょう。

カチオン系

カチオン系の高分子凝集剤はプラスに帯電しており、廃水のpHが酸性から中性域で有効です。主に以下の場合に使用されます。

  • 汚泥の脱水性を良くしたい
  • フロックの強度を上げたい
  • 有機廃水に使用したい

カチオン系の高分子凝集剤は、フロックの脱水性を高めたい時に有効です。カチオン系の高分子凝集剤で作ったフロックは撹拌や水圧で壊れにくくなるため、他の高分子凝集剤で作ったフロックよりも脱水しやすくなります。

アニオン系

アニオン系の高分子凝集剤はマイナスに帯電しており、無機廃水をはじめとして多くの廃水で使用されています。主な用途は以下のとおりです。

  • 廃水のpHが中性~アルカリ性の時に有効
  • フロックを大きくして沈降速度を速くしたい

アニオン系の高分子凝集剤は一次凝集でPACや硫酸バンドなどの無機凝集剤を使用した後に使われることが多く、フロックを大きくすることに優れた高分子凝集剤です

ノニオン系

ノニオン系の高分子凝集剤は非イオン性であり、主に以下の場合に使用されます。

  • 廃水のpHが酸性~中性の時に有効
  • フロックを大きくして沈降速度を速くしたい

ノニオン系の高分子凝集剤は、「酸性で有効なアニオン系」とイメージすればわかりやすいと思います。アニオン系の高分子凝集剤と同様にフロックを大きくすることに優れていますので、フロックの沈降速度を速めたい現場で効果を発揮するでしょう。

凝集沈澱や加圧浮上の処理ではアニオン系とノニオン系の高分子凝集剤が有効であり、廃水の性状に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。

高分子凝集剤の形状

高分子凝集剤の形状メリットデメリット
粉末状・種類が多く、選択肢が多い
・保管期間が長い(未開封で1年程度)
・溶解時間が長い(1~2時間)
・溶解時にダマになりやすい
・粉末の飛散がある
エマルション状(液体)・溶解時間が短い(5~30分)・溶解時にダマにならない・ポンプでの注入に適しており、自動化しやすい・種類が少なく、対応できない廃水がある
・粉末状と比較して高分子(ポリマー)の比率が40%程度と低く、価格が割高になる

高分子凝集剤は粉末状とエマルジョン状(液体)の2つの形状があります。上の表は両者のメリットとデメリットを比較したものです。

高分子凝集剤は粉末状のものの方が歴史が長く種類も多いため、廃水に合わせて最適なものを選べる可能性が高いですが、溶解時間が長く、ダマになりやすいのがデメリットです。

一方のエマルジョン状は液体なので溶解時にダマにならずに溶けやすいですが、粉末状と比較して高分子(ポリマー)の比率が低いため、使用量が増える傾向にあります。

粉末状の高分子凝集剤を使用していて溶解に時間がかかる、ダマになって困っているなど作業性を改善したい現場では、エマルジョン状への切り替えがおすすめです。

高分子凝集剤の選定方法 

高分子凝集剤はとても種類が多く「無機廃水だからアニオン系」のように決まった答えがありません。そのため、廃水と高分子凝集剤の相性を机上のビーカー試験で確認して、選定する必要があります

廃水への高分子凝集剤の添加量はもちろんのこと、攪拌の条件や添加する順序などによっても効果が変わってくるため、最適な高分子凝集剤を選定するのはユーザー様では難しいのが実情です。高分子凝集剤の選定は、専門家へ試験を依頼するようにしましょう。

高分子凝集剤のことならミズサポにお任せ

高分子凝集剤は凝集処理において欠かせない存在ですが、イオン性や形状といった種類が多くあるため、最適な選定が難しい薬品だといえます。

もし高分子凝集剤のことでお悩みであれば、ミズサポにお問い合わせください。お客様の現状をヒアリングさせていただき、最適な高分子凝集剤を選定できる専門家を紹介いたします。

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