養豚場で排水処理は必要?必要となるケースや排水処理法を解説

養豚場で排水処理は必要?必要となるケースや排水処理法を解説

「脱水機を更新したら、汚泥が固まらなくなった…。」というケースは養豚場の排水処理でよくあることです。

養豚場の排水は多量の有機物やアンモニア、亜硝酸などが含まれており、設備や飼料の変更で少しでもバランスが崩れると、凝集不良などの不具合が発生しやすくなります

本記事では養豚場から出る排水の特徴や処理方法をわかりやすく解説しています。養豚場の排水処理で重要となる高分子凝集剤(こうぶんしぎょうしゅうざい)についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

養豚場から出る排水の特徴

養豚場から出る排水には、以下の特徴があります。

  • BOD濃度が極端に高い
  • アンモニアや亜硝酸などの有害物質が含まれる

それぞれの特徴を掘り下げて確認していきましょう。

BOD濃度が極端に高い

養豚場から出る排水には、有機物や窒素、りんが多量に含まれています。中でも有機物の濃度を表すBODの値が他の産業と比較して、極端に高いのが特徴的です

2011年から2012年にかけて静岡県にある養豚場13戸で実施した水質調査によると、※BODは平均で約2,500~3,500mg/Lであることがわかっています。他の産業ではBODは平均300mg/L程度が一般的ですので、約10倍の数値です。

参考:2013年1月静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター「静岡県内における養豚排水の水質特性」

アンモニアや亜硝酸などの有害物質が含まれる

養豚場では尿やふんなどを処理したものが排水として出るため、アンモニアや亜硝酸などの「硝酸性窒素」が含まれているのが特徴です。硝酸性窒素はメトヘモグロビン血症と呼ばれる中毒を引き起こす可能性のある有害物質であり、水質汚濁防止法で100mg/Lという一律排水基準が設けられています。

養豚場では硝酸性窒素が原因で、飼育豚の死亡事例も発生しています。血中のヘモグロビンが機能不全となり、豚が酸素不足に陥って死亡した事例です。硝酸性窒素による中毒は豚だけではなく、人間の乳幼児でも発生する可能性があり、排水基準が明確に定められています。

参考:養豚場 における肥育豚の硝酸塩中毒の発生例

養豚場で排水処理が必要となるケース

養豚場で排水処理が必要となるケースは以下のとおりです。

  • 水質汚濁防止法の特定事業場に該当する
  • 有害物質が排水基準以上の濃度である

それぞれを具体的に確認していきます。

水質汚濁防止法の特定事業場に該当する

総面積500m2以上の豚房を持つ養豚場は、水質汚濁防止法で特定事業場に該当します。この場合、河川や湖沼へ排水する際の排水基準が適用されるため、排水処理が必須です。

ただし、1日あたりの養豚場全体の排水量が50m3以下であり、排水に基準値以上の有害物質が含まれていない場合は排水処理が不要なこともあります。

有害物質が排水基準以上の濃度である

先ほど解説したとおり、養豚場から出る排水にはアンモニアや亜硝酸などの有害物質が含まれているケースがほとんどです。アンモニアや亜硝酸の一律排水基準は100mg/L以下であり、これを超える場合は1日あたりの排水量に関係なく排水処理が必須となります

静岡県の養豚場13戸における排水調査では、アンモニア態窒素は平均で1,128mg/Lと排水基準の10倍以上とわかっています。この調査からも養豚場では、排水処理が必須だと考えて間違いないでしょう。

※参考:2013年1月静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター「静岡県内における養豚排水の水質特性」

養豚場での排水処理方法

養豚場で排水処理が必要となった場合、以下の方法で対応するのが一般的です。

  1. 薬品処理
  2. 物理処理
  3. 生物処理

養豚場の排水は、高分子凝集剤(こうぶんしぎょうしゅうざい)と呼ばれる薬品を使って薬品処理を行った後、沈澱分離槽や脱水機などを用いる物理処理によって固液分離させるのが一般的です。その他にもスクリーンや振動ふるいなどで、一次処理されることもあります。

BODやSSの値が非常に高い養豚場の排水は、薬品処理と物理処理でBODやSSをある程度除去できます。

薬品処理と物理処理で一次処理された養豚場の排水は、続いて生物処理されるのが一般的です。生物処理とは微生物によって、排水中の有機物などを分解させる排水処理方法であり、養豚場の排水処理では必須となります。

生物処理の代表例は「活性汚泥法」です。活性汚泥と呼ばれる微生物の集合体を入れることで水がきれいになっていきます。

各種排水処理については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

参考:排水処理とは?3つの排水処理方法や具体例をわかりやすく解説

養豚場の排水処理で重要な役割を担う高分子凝集剤

高分子凝集剤とは別名「ポリマー」と呼ばれており、排水中の汚れどうしをくっつける接着剤のような役割があります。

近年、物価上昇に伴い飼料の価格が高騰しており、飼料を変更する養豚場が増えています。飼料が変われば排水の特性も変わるため、従来の高分子凝集剤で不具合が起こる可能性も否定できません。

養豚場の排水処理で重要な役割を担う高分子凝集剤は、種類の選定や使用量などの使い方が大切なので、長年の経験を持つ専門業者への問い合わせがおすすめです。

株式会社アセラは幅広いラインナップの高分子凝集剤を用意しており、お客様のお困りごとに合わせて最適な凝集剤を選定できます。養豚場における飼料や設備の変更に伴う不具合を数多く解決してきた提案力が強みの企業です。

養豚場の排水処理にお困りであればミズサポにご連絡を

養豚場の排水には高い濃度のBODやアンモニア、亜硝酸などの有害物質が含まれており、排水基準を満たすために複数の排水処理が必須となります

養豚場の排水処理でお困りごとであればミズサポまでご相談ください。飼料や設備の変更による凝集不良などの課題をヒアリングさせていただき、地域に合わせて最適な高分子凝集剤や排水処理設備を提案できる専門業者を紹介いたします。

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