工業排水とは?処理しないといけない理由や処理方法を解説

工業排水とは?処理しないといけない理由や処理方法を解説

「新規で導入する工程で工業排水が出るけど、処理の方法がわからない…。」とお悩みの方もいるでしょう。

工場から出る工業排水は基本的に処理が必須です

本記事では工業排水の概要や処理しないといけない理由、処理方法の一例などをわかりやすく解説しています。工業排水の処理にお困りの方は必見です。

工業排水とは?

工業排水とは工場で使い終わった水のことです

工業製品や食品を作る工場では、部品の洗浄や加工で大量の水を使用します。使い終わった水には洗剤や油の他にも様々な化学薬品が含まれており、中には有害物質もあるため、排水処理が必須です。

工業排水には川や海に流されるもの以外に、土にしみ込んで地下水になるものも含まれます。仮に地下水に有害物質が含まれていると、川や海の汚染原因となるだけではなく、近隣住民の健康被害につながる恐れもあります。

工業排水を処理しないといけない理由

工業排水を処理しないといけない理由は大きく分けて以下の2つです。

  • 有害物質による健康被害を防ぐため
  • 企業の信頼を守るため

工業排水には多くの有害物質が含まれます。過去には、水銀やカドミウムが川や海へ流出したことによって、水俣病やイタイイタイ病などの公害の原因となった事例もあります。

公害を防ぎ、企業の信頼を守るためにも、工業排水は確実に処理しなければなりません。

水質汚濁防止法では、1日あたり50m3以下の排水量であれば、有害物質が含まれていない限りは違法ではありませんが、処理せずに濁った工業排水を出せば近隣住民から不安の声が上がる可能性もあります。

工業排水の処理方法

工業排水の汚濁物質は大きく無機物と有機物の2つに分けられ、それぞれで処理方法が異なります。

  • 無機物(重金属が含まれるケースが多い)→薬品処理+物理処理
  • 有機物(動植物由来の油、食品の残りかすなど)→生物処理

物理処理は「ろ過」に代表される汚れた水から固形物や浮遊物を取り除く方法で、生物処理は微生物の力で汚れた水から有機物を分解する方法です。この他にも汚れた水に薬品を入れて、化学反応を利用して汚れを取り除く化学処理(薬品処理)もあります。

工業排水の種類によって、これら3種類の排水処理方法を組み合わせることもあるので、まずは工業排水の特性を知ることが大切です。

排水処理の3つの方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

参考記事:排水処理とは?3つの排水処理方法や具体例をわかりやすく解説

H2 工業排水と処理方法の一例

排水の種類排水量(m3/日)処理方法
印刷排水0.1~10薬品処理+物理処理(※1)
ガラス加工排水1~50薬品処理
表面処理排水1~200薬品処理+物理処理(※1)
食品排水10~1000以上生物処理
養豚場の排水50固液分離+生物処理

※1排水によっては、不要の場合もある

上記の表は工業排水の種類と処理方法の一例です。

工業排水の処理が必要な場合、印刷やガラスなどの無機物の処理は、コストが安価な薬品処理や自動化できる物理処理を用いることが多く、食品などの有機排水は生物処理が必要となります。

例えば、ガラス加工排水には「凝集剤」と呼ばれる薬品がよく使用されます。凝集剤によって、排水に含まれる無機物がまとまって沈澱することによって、水と分離させる仕組みです。

以下の記事では、ガラス加工排水で使用していた薬品を変更することで大幅なコスト削減につながった事例を紹介していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:株式会社ネクストリー導入事例「ガラス加工業、排水処理能力向上」

H2 工業排水の処理量での装置選定について

工業排水の処理を検討する時に忘れてはいけないのが、1日あたりの排水量です。排水量を把握せずに設備の種類を決めてしまうと、能力不足などの問題が発生する可能性があります。

上記の計算式は工業排水の処理量を表したものです。この計算式に当てはめたときに1日の排水量が2m3以下であればバッチ式、2m3以上であれば連続式の排水処理装置が目安となります

排水処理設備は一度導入すると大がかりな更新が難しくなるため、将来の増産なども見越して検討する方がよいでしょう。

排水処理設備について詳しく知りたい方は、以下の記事で仕組みや種類について解説していますので、合わせてご覧ください。

参考記事:排水処理設備の仕組みや種類を解説!事例やメーカー5選も紹介

H2 工業排水の悩みは専門業者に相談しよう

有害物質を含めて様々なものが含まれる工業排水は、基本的に処理しなければなりません。人々の健康被害や環境問題に対する関心が年々高まっており、工業排水に関する規制やルールが変わっていく可能性もあります。

工業排水の悩みは自社で抱え込まず、専門業者に相談することで解決策が見つけやすくなるでしょう。ミズサポは、薬品処理を中心に工業排水に関する課題解決を提案しています。気になる方はぜひ一度ご相談ください。

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