「新たに導入した設備で廃液が出るけど、排水処理する必要があるの?」と疑問に思われる方もいると思います。
排水処理が必要になる理由は大きく分けて2つあり、当てはまる場合のみ排水処理設備が必要です。逆に当てはまらない場合は、排水処理設備は不要となる可能性もあります。
排水処理設備の導入を検討する前には調べることが全部で4つあり、本記事では4つの概要について簡単に紹介しています。自社で本当に排水処理をする必要があるのか、知りたい方は必見です。
目的
排水処理が必要になる理由
工場で排水処理が必要になる理由は大きく分けて以下の2つです。
- 特定施設がある
- 排水が50m3以上もしくは有害物質を含んでいる
それぞれの理由について詳細を確認していきましょう。
1.特定施設がある
特定施設とは国から水質規制を指定された施設のことです。特定施設がある工場は「特定事業場」に該当し、水質汚濁防止法が適用されます。
水質汚濁防止法は工場で使用して汚くなった水を排水するためのルールであり、国民の健康と生活環境を守るために作られた法律です。特定施設がある工場では、人体や環境に良くない物質を工場外に出さないために、排水処理が必要となっています。
2.排水が50m3以上もしくは有害物質を含んでいる
特定施設がある工場は以下の場合に排水処理が必要となります。
- 1日あたりの工場全体での排水量が50m3以上ある
- 排水に有害物質が含まれている
※1日あたりの排水量が50m3未満で有害物質が含まれていない場合は、基本的には水質汚濁防止法の適用を受けません。
排水量は特定施設のみではなく工場全体での合算値となるので覚えておきましょう。
有害物質とは、カドミウムや六価クロムなど水質汚濁防止法で定められた28種類を指します。排水中に有害物質が含まれている場合は、少量でも健康被害や環境汚染を引き起こす可能性が高く、排水処理が必須です。
排水処理が必要な場合に確認すること
排水処理が必要とわかれば、次に以下の項目を確認しましょう。
- 処理した水をどこに流すか?
- 流せる排水基準は?
それぞれを掘り下げて確認していきます。
3.処理した水をどこに流すか?
工場で排水処理した水は、以下のどちらかに流します。
- 下水道
- 河川や海などの公共用水域
下水道が整備されている地域にある工場では下水道接続が基本ですが、整備されていない地域では河川や海に流す場合もあります。
排水処理した水をどこに流すかは、工場で独自で決めるのではなく、地方自治体と協議して決めていきましょう。
4.流せる排水基準は?
水質汚濁防止法では以下3つの排水基準が定められています。
- 一律排水基準:国が定めている排水基準
- 上乗せ排水基準:地方自治体が条例で定める排水基準で、国よりも厳しい基準
- 横出し基準:地方自治体が独自で定める排水基準
流せる排水基準は「工場がある地方自治体によって変わる」と覚えておきましょう。以下、熊本県の排水基準を例にして確認します。
■カドミウム及びその他化合物の許容限度
- 一律排水基準:0.03mg/L
- 熊本県の上乗せ排水基準:0.01mg/L
このように熊本県が独自に定める上乗せ排水基準の方が厳しくなっており、工場はこちらの排水基準を守る必要があります。
参考:環境省「一般排水基準」
まずは特定事業所に該当するかを確認しよう
排水処理設備を導入する前に調べることは、本記事のとおり全部で4つあります。まず調べないといけないのが、自社の工場が「特定事業場に該当するかどうか」ということです。
特定施設や特定事業場と聞くと難しいと感じる人もいるかもしれませんが、以下の記事で誰でもわかるように解説していますので、ぜひご覧ください。
■次の記事「特定事業場に該当する?」はこちら