処理した水はどこに流す?

処理した水はどこに流す?

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水質汚濁防止法では、工場全体の1日あたりの排水量が50m3を超えるもしくは、排水中に有害物質が含まれる場合は排水処理が必須です。

次に排水処理した水をどこに流すか検討する必要があります。処理した水を流す先は大きく分けて2つありますが、基本的に自社の独断では決められず、事業場がある地方自治体と協議が必要です

本記事では排水処理した水を流す先について紹介して、それぞれ適用される法令を確認していきます。

処理した水を流す先

排水処理をした水を流す先は大きく分けて以下の2つです。

  1. 下水道
  2. 公共用水域

それぞれの概要を確認していきましょう。

1.下水道

下水道と聞くと、家庭の台所、トイレ、お風呂から出る汚れた水が流れる場所と想像する人も多いでしょう。下水道が整備されている地域にある工場や事業場では、排水を下水道に流すのが一般的です

下水道に流された排水は、下水処理場に送られて色々な水処理を経て、川や海に放流されます。

2.公共用水域

公共用水域とは、水質汚濁防止法で以下のとおり定義されています。

「河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝きょ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路」

一見難しそうですが、「川・湖・沼・海とこれらに接続している水路全て」と解釈すれば問題ありません。

公共用水域に排水するのは、前提として下水道が整備されていない地域と覚えておきましょう。

処理した水を流す先によって変わる法令と排水基準

排水処理した水は下水道もしくは公共用水域に流すことがわかりました。流す先によって、適用される法令が変わり、排水基準もわずかながら異なります。

  1. 下水道に流す場合:下水道法
  2. 公共用水域に流す場合:水質汚濁防止法

下水道法と水質汚濁防止法で、※排水基準が設けられている対象物質はほぼ同じです。(※下水道法の場合は排除基準といいます。)

■水質汚濁防止法と下水道法の対象物質の一例

対象物質・項目水質項目水質汚濁防止法下水道法
カドミウム有害物質0.03mg/L以下0.03mg/L以下
生物化学的酸素要求量(BOD)生活環境項目160mg/L以下600mg/L以下
化学的酸素要求量(COD)生活環境項目160mg/L以下基準値無し
浮遊物質(SS)生活環境項目200mg/L以下600mg/L以下

上記のとおり、下水道法では排除基準が設けられていないものもあります。下水道への排水は、その後下水処理場で水処理されるということもあり、公共用水域への排水と比べると、基準が少し緩いと覚えておきましょう。

排水が少ない場合は産業廃棄物で処理する場合もある

ここまで排水処理をする前提で話をしてきていますが、1日あたりの排水量が数Lのごくわずかな場合は、排水処理して工場外に排水するよりも、廃液として産業廃棄物で処理する方法もあります

ただし、産業廃棄物の処理費用は年々高騰しており、排水量増加の見込みがある場合は、排水処理をおすすめしています。

工場から排水する場合は処理が必須

処理した排水を流す先は、下水道と公共用水域の2種類があり、それぞれで「流せる基準値」が異なることがわかりました。工場から排水する場合は、有害物質や生活環境項目の基準値内に収まるように排水処理が必須です。

次に確認しないといけないのが、工場から出てくる廃液の量と廃液中の有害物質となります。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

■次の記事「出てくる廃液の量と有害物質は?」はこちら

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