「古い排水処理タンクを更新したいけれど、どう選べばよいの?」とお悩みではありませんか?
排水処理タンクは、工場や製造現場の排水処理に欠かせない設備です。長年使用していると腐食や汚泥堆積などのトラブルが起こり、更新を検討する設備管理担当者も多いと思います。
本記事では、排水処理タンクの基本的な役割から種類や材質の特徴、よくあるトラブルとその対策、失敗しない選び方までを網羅的に解説します。
排水処理タンクをご検討の方は必見です。
目的
排水処理タンクとは?
排水処理タンクとは、工場からの排水に含まれる油分、金属、SS(浮遊物質)などの不純物や有害物質を除去し、環境基準や排水基準を満たした水質にまで浄化するための設備です。
沈殿、中和、凝集、生物処理など、用途に応じた複数のタンクで構成されており、排水の状態や処理目的によって配置や容量が異なります。製造業、食品工場、めっき工場など幅広い業種で採用され、適切な排水処理のために欠かせない設備です。
排水処理で使われるタンクの種類と役割
排水処理タンクは工程ごとに役割が異なります。代表的なタンクは以下の5つです。
- 調整槽(均等槽)
- 中和槽
- 凝集反応槽
- 沈殿槽
- 貯蓄槽・処理水槽
それぞれの役割について確認していきましょう。
調整槽(均等槽)
調整槽は、工場から流入する排水の濃度や水量を均一化するためのタンクです。
製造工程によって排水の性状は大きく変動するため、調整槽を設けて、後工程の処理効率を安定させます。最大排水量を想定して容量に余裕を持つことが大切です。槽内での沈殿を防ぐために攪拌を行うケースも多く、悪臭防止にもつながります。
中和槽
中和槽は、酸性またはアルカリ性の排水を適正なpHに調整するためのタンクです。
pHセンサーを設置して常時監視し、必要に応じて薬品を投入します。撹拌機で薬品を均一に混ぜ、短時間で安定した中和が可能です。薬品投入装置との組み合わせにより自動制御も可能であり、作業負担を軽減できます。
凝集反応槽
凝集反応槽は、凝集剤を添加して排水中の微細な汚れをフロック(塊)にするタンクです。
滞留時間が短すぎると十分なフロックができず、長すぎると汚泥が過剰に発生します。撹拌強度も適切に調整する必要があり、強すぎるとフロックが壊れ、弱すぎると均一な反応が得られません。
形成したフロックは沈殿槽に送られ、効率的に分離されます。
沈殿槽
沈殿槽は、凝集反応槽で形成されたフロックを沈降・分離するためのタンクです。
槽の形状は底部に汚泥を集めやすい円錐形が一般的となります。流速が不適切だと沈降が不十分となり、処理水に濁りが残るため注意が必要です。
定期的に汚泥を排出することで有効容量を維持し、処理効率を安定させます。沈殿槽は排水処理の最終段階に近く、処理水の透明度を確保するために重要です。
貯留槽・処理水槽
貯留槽・処理水槽は、処理後の水を一時的に貯留し、放流前に水質を確認するタンクです。
放流ポンプや水質センサーを設置し、基準値を満たしているかをチェックします。処理水槽は最終的な品質保証の場であり、環境規制を守るための最後の砦です。
排水処理タンクの材質
排水処理タンクは使用環境や排水の性状に応じて材質を選ぶ必要があります。代表的な材質はFRP、ステンレス、鉄の3種類です。
| 材質名 | 適した用途 | 特徴 |
| FRP(強化プラスチック) | 中和槽、調整槽 | 軽量で耐薬品性が高く、腐食しにくい。ただし熱には弱いため、高温排水には不向き。 |
| ステンレス | 凝集反応槽 | 強度と清掃性に優れ、寿命が長く、耐久性が求められる工程に適している。コストが高い。 |
| 鉄 | 沈殿槽、貯留槽 | 価格が安く加工が容易だが、腐食リスクが高い点がデメリット。定期的な補修が必要となる。 |
上記の表は3種類の材質の特徴と用途をまとめたものです。材質選定は初期コストだけでなく、耐久性やメンテナンス性を含めたトータルコストで判断する必要があります。
排水処理タンクでよくあるトラブルと対策
排水処理タンクは長期使用により様々なトラブルが発生します。代表的なものが「タンクの腐食による漏水」と「汚泥の堆積による処理効率低下」の2つです。
鉄製タンクでは腐食が進行することで、ひび割れや穴が発生しやすくなるため、漏水のリスクが高まります。耐薬品性に優れたFRPやステンレス製への更新、定期的な内部点検やエポキシ樹脂でタンクの内側を補修するライニング処理が有効です。
沈殿槽や反応槽では、底部に汚泥が堆積すると有効容量が減少し、処理効率が低下します。定期的な汚泥の排出と清掃を行い、年1回以上の点検で堆積厚を確認しましょう。調整槽であれば、攪拌機をつけることで堆積を防ぐことも可能です。
排水処理タンクの選び方|失敗しない方法
排水処理タンクは長期にわたり使用する設備ですので、導入する時の選び方が大切です。失敗しないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 排水の性状と変動幅に合わせて選ぶ
- 工程に合ったタンク構造・材質を選ぶ
- メンテナンス性と更新のしやすさで選ぶ
それぞれの詳細を確認していきます。
排水の性状と変動幅に合わせて選ぶ
排水処理タンクを選定する際、まず確認すべきは排水の性状です。同じ業種でも工程や薬品の使用方法によって排水の濃度や成分は大きく異なります。メッキ工程では金属イオン濃度が高く、食品工場では有機物が多いなどが一例です。
日によって水量が倍以上に増えるなど変動幅が大きい場合は、調整槽の容量を拡大したり、反応槽の滞留時間を十分に確保するなど対策する必要があります。
性状と変動を正しく把握しないまま排水タンクを導入すると、処理能力不足や基準値超過のリスクが高まります。事前調査を徹底し、余裕を持った設計を行うことが失敗を防ぐ第一歩です。
工程に合ったタンク構造・材質を選ぶ
排水処理タンクは、工程ごとに求められる構造や材質が異なるのが一般的です。
例えば、中和槽では薬品投入によってpHが大きく変動するため、耐薬品性に優れたFRPやステンレスが適しています。一方、沈殿槽は底部に汚泥が集まりやすいため、円錐底構造や汚泥排出口を備えた設計が有利です。
コストが安いからと言って、汎用品を安易に選ぶと、腐食や堆積トラブルが発生しやすく、後から補修コストが膨らむ可能性があります。
材質選定では初期費用だけでなく、耐久性やメンテナンス性を含めたライフサイクルコストを考慮することが大切です。
メンテナンス性と更新のしやすさで選ぶ
排水処理タンクは導入して終わりではなく、10〜15年にわたり使用する設備です。そのため、選定時には清掃や点検のしやすさを重視する必要があります。例えば、マンホールや点検口の位置が適切であれば内部清掃が容易になり、効率的な汚泥排出作業が可能です。
更新時に既存配管との接続が簡単にできるかどうかも事前に確認しましょう。設置スペースに余裕がない場合は、更新作業が困難になり、工場の稼働停止時間が長引く恐れがあります。
メンテナンス性と更新のしやすさを事前に確認しておくことで、維持管理コストを抑え、安定した運用が可能です。
排水処理タンクの導入ならミズサポまでご相談を
排水処理タンクは、工場の安定稼働と環境規制遵守に欠かせない設備です。材質や構造の選定を誤ると、腐食や汚泥堆積などのトラブルが発生し、余計なコストやリスクが発生します。排水の性状や工程の特性、メンテナンス性を総合的に考慮することが、失敗しない選び方のポイントです。
排水処理タンクの導入や更新でお悩みであれば、お気軽にミズサポまでお問い合わせください。お客様の状況をヒアリングさせていただき、長期間安心して運用できる設備をご提案いたします。