排水の脱色は必要?着色度の排水基準や脱色方法をわかりやすく解説

排水の脱色は必要?着色度の排水基準や脱色方法をわかりやすく解説

「排水に色が付いているけれど、そのまま流していて大丈夫?」と不安に感じていませんか?

色が付いた排水は、地域によっては規制の対象となっていることも多く、その場合は脱色処理が必要です

本記事では、着色度の排水基準や濁度との違い、脱色方法まで幅広く解説しています。色が付いた排水にお困りの方は必見です。

混同しやすい「着色度」と「濁度」の違い

「着色度」と混同しやすい指標に「濁度」があります。どちらも水の見た目に関わる指標ですが、測定対象が異なります。

着色度は水そのものに溶け込んでいる色素成分の濃さを表す指標です。インクや染料など、粒子としては存在せず、透明に溶けている物質によって生じる色合いを数値化します。そのため、透明感はあっても「茶色っぽい」といった色が残るときに高い値を示します。

一方、濁度は水中に浮遊している微細な粒子による「にごり」を測るものです。SS(浮遊物質)、微生物などが光を散乱させることで白濁して見える状態を評価します。濁度が高い水は見た目が白っぽく、光が通りにくくなります。

つまり、着色度は「溶けた色」、濁度は「浮いたにごり」を示す数値です。排水処理では両方を下げる必要があり、濁度は下がっても着色度が残るケースが多いため、注意が必要です。

排水を脱色する必要性 

排水の「色」は見た目のインパクトが大きく、処理を怠るとトラブルにつながることがあります。国の排水基準に「着色度」はありませんが、次のような理由から脱色処理が必要になるケースがあります。

  • 自治体によっては上乗せ基準として「着色度」を定めている場合がある
  • 規制がなくても、周辺住民や取引先から苦情につながるリスクがある

排水を脱色する必要性について、掘り下げて確認していきましょう。

国の一律排水基準では「色」は規制されていない 

水質汚濁防止法に基づく国の一律排水基準では、「色」に関する規制はありません。pHやSS、COD、BOD、その他有害物質の排水基準を満たしていれば、色が付いた水でも法的には放流可能です。

しかし、法的に問題がなくても、社会的に受け入れられるかどうかはわかりません。河川や農業用水路の周辺に放流する場合であれば、排水基準に適合していることに加えて、色が付いていないことも重要です。

上乗せ基準で設定されている自治体もある

国が定める一律排水基準に含まれない「着色度」ですが、自治体によっては「上乗せ基準」で規制している場合があります

例えば、和歌山市では公共用水域に流す排水に対して、「着色度 日間平均80度以下 最大120度以下」の基準を設けています。着色度のイメージは以下のとおりです。

着色度
10度以下ミネラルウォーター
50度麦茶をかなり薄めた色
80度麦茶色がわかるが、まだ透明感はある
120度色付きのジュースのレベルで誰が見ても色がわかる

つまり、着色度80度は「肉眼で色がわかるが透明感はある状態」なので、そこまで厳しい規制ではないことがわかります。

その他の自治体では、大阪市のように「放流先で支障をきたすような色を帯びていないこと」と抽象的な表現をしているところもあります。上乗せ基準は、自治体によって異なるので、必ず確認するようにしましょう

排水基準が無くても苦情のリスクがある

たとえ法的な規制がなくても、色のついた排水を流すことで以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 近隣住民や農業、漁業関係者からの苦情
  • 自治体や地域協定による行政指導
  • イメージダウンによる取引先との契約リスク

例えば河川に排水する場合、下流に田んぼがあれば「米に影響が出るのではないか?」といった不安を近隣住民に与えることもあります。結果的に行政から改善指導を受け、想定外の対応が発生するケースも珍しくありません。

排水の脱色は、法律で義務づけられていなくても事実上必要になる場合が多いのです

排水に色が付く理由

排水に色が付くのは、製造工程で使用される原料や薬品が水に溶け込むためです。染色工場では水の中に染料が残り、金属加工業では防錆材や切削油の成分が色を帯びて排水中に残ります。

凝集沈殿法などの排水処理を行った場合でも、色素の分子は非常に細かく、完全に除去しきれないことが多いです。そのため、排水に色が残るため、さらなる脱色処理が必要となります。

排水を脱色する方法

排水を脱色する際は、以下の手順で進めましょう

  1. まずは凝集沈殿法
  2. 次に活性炭吸着法

それぞれを詳しく確認していきます。

1.まずは凝集沈殿法 

PAC(ポリ塩化アルミニウム)や硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤を加えて、水中の微細な粒子を凝集・沈殿させる方法です。排水処理の基本とも言える方法であり、排水の脱色手段として最初に検討します。

設備がシンプルで薬品コストも比較的安価なため、取り組みやすいのがメリットです。SS(浮遊物質)の除去による濁度の改善と合わせて、着色度も下げられます。

ただし、インクや染料など水に溶け込んでいる色素に対しては、効果が薄いのがデメリットです。排水処理を行っても色が残ってしまう例も多くあります。

2.次に活性炭吸着法 

活性炭吸着法は、多数の微細な孔を持つ活性炭に排水を通して、着色度を下げる方法です。凝集沈殿法で取りきれなかった溶解した色素を除去する際に用いられます。

活性炭に排水を通すだけで、幅広い種類の溶解性色素に対応できるのが最大のメリットです。凝集沈殿法では取れないインクや染料などによる色素を効率的に吸着できます。ただし、吸着能力には限界があるため、定期的な交換や再生が必要です。

もし凝集沈殿法と活性炭吸着法でも、着色度が下がらない場合は、ミズサポまでご相談ください。その他の専門的な排水処理を含めてサポートいたします。

排水の脱色でお困りならミズサポまでお問い合わせください

排水を脱色すべきかどうかは、自治体の上乗せ基準があるかどうかだけではなく、地域環境や社会的信頼を考慮して判断しましょう。仮に排水基準を満たしていても、色が付いた排水によって苦情やトラブルに発展する可能性もあります。

もし排水の脱色にお困りであれば、お気軽にミズサポまでお問い合わせください。現場の水質分析から最適な脱色方法まで総合的にお手伝いいたします。

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