「役所から水質分析の結果を提出するように言われたけれど、どうすればよいのかわからない…。」とお困りではありませんか?
水質汚濁防止法の対象となる特定事業場では、排水の影響を正確に把握し、基準を満たしているかを確認するために水質分析が欠かせません。新ラインの稼働開始時や設備の移設を行う際に役所に届出を行った際に、上記のように水質分析の結果を求められるケースも多くあります。
本記事では、そもそも水質分析とは何かという初歩的な内容から業者に依頼を行う流れまで網羅的に解説しております。水質分析について詳しく知りたい方は必見です。
またミズサポでは水質分析の依頼を受け付けており、排水処理の改善も提案できますので、お気軽にお問い合わせください。
目的
水質分析とは?
水質分析とは、工場や施設から排出される水に含まれる成分や性質を化学的に調べることを指します。
水質分析は汚濁物質や有害物質の有無を確認し、環境・排水基準を満たしているかどうかを判断する調査です。重金属や有機溶剤など健康や環境に大きな影響を与える物質から、pHやCOD(化学的酸素要求量)といった生活環境項目(※)まで、水質分析の対象は幅広くあります。
工場排水には有害物質が含まれるケースが多く、環境保全のために水質汚濁防止法や下水道法で排水基準が設けられています。水質分析はこれらの法規制に対応するために必須であり、CSRやSDGsの達成とも密接に関わっている大切な調査です。
※生活環境項目:人の健康だけでなく、周囲の自然環境や生活の快適さを守るために設定された水質基準の項目
工場排水の水質分析までに事前に確認すること
まず自社が「特定施設」を持つ特定事業場であるかどうか確認しましょう。
特定施設とは、汚染物質や廃液を出す可能性があり、排水の水質規制が必要と判断された設備のことです。水質汚濁防止法で定められている特定施設を持つ工場は、水質分析を行う必要があります。特定施設の詳しい解説については以下をお読みください。
参考:2.特定事業場とは?
次に放流先の確認です。下水道の場合は「下水道法」、公共用水域の場合は「水質汚濁防止法」が適用されます。
どちらの法令でも対象物質はほぼ同じです。下記の表のとおり、基準値が異なる場合もありますので、水質分析前に放流先を明確にしておきましょう。
■水質汚濁防止法と下水道法の対象物質の一例
対象物質・項目 | 水質項目 | 水質汚濁防止法 | 下水道法 |
カドミウム | 有害物質 | 0.03mg/L以下 | 0.03mg/L以下 |
六価クロム化合物 | 有害物質 | 0.2mg/L以下 | 0.2mg/L以下 |
COD(化学的酸素要求量) | 生活環境項目 | 160mg/L以下 | 基準値無し |
浮遊物質(SS) | 生活環境項目 | 200mg/L以下 | 600mg/L以下 |
排水処理した物質をどこに流せばよいかわからない方は、以下の記事も参考にしてください。
水質分析を依頼する流れ
実際に水質分析を依頼する流れは以下の4ステップです。
- 水質分析の項目を決める
- 水質分析業者に排水を送付
- 業者に水質分析を実施してもらい計量証明書を役所に提出する
- 必要であれば排水処理の改善を検討
それぞれを掘り下げて確認していきましょう。
1.水質分析の項目を決める
まずは以下の手順によって水質分析の項目を決定します。
- 役所に項目を確認する
- 排水に含まれていない物質は除外する
約150種類の全項目の水質分析を行えば安心ですが、分析に関する費用は高額になってしまいますので、一般的には絶対に含まれていない物質は除外して分析を行います。
調査結果を提出する役所と相談して決めるのがベストですが、判断が難しい場合はミズサポまでお問い合わせください。
2.水質分析業者に排水を送付
水質分析の項目が決まれば、実際の排水を採取して水質分析業者に発送します。
採取方法や採取量については、水質分析業者によって異なるため、事前に確認を行いましょう。項目によっては、採取から試験までを短期間で完了させる必要があるため、あらかじめ試験日程を打ち合わせておくことが大切です。
3.業者に水質分析を実施してもらい計量証明書を役所に提出する
排水が業者に届いた後は、指定した物質について関係法令やJISなどに基づき、分析され、計量証明書が発行されます。
計量証明書は、計量法という法律に基づいて発行され、環境計量士が一定の基準を満たして分析した結果を法的に証明するものです。受け取り後、役所へ速やかに提出しましょう。
分析から計量証明書の作成までに掛かる日数については、水質分析業者で違いがあります。また長期休暇の前後など分析が立て込む時期もあるので注意が必要です。役所から提出時期を明確にされている場合は、計量証明書の作成についても事前に打ち合わせしておきましょう。
4.必要であれば排水処理の改善を検討
水質分析の結果、排水基準内に収まっていれば問題ありませんが、基準値ギリギリや超過している場合は現状の排水処理方法の改善を検討しましょう。
水質分析業者の中には、分析結果から排水処理方法の改善まで提案してくれる企業もありますので、相談してみるのも1つの方法です。
ミズサポは水質分析から排水処理方法の改善まで一貫して行えますので、ぜひお問い合わせください。
水質分析の業者を選ぶポイント
水質分析の業者を選ぶ際は以下3つのポイントを確認することが大切です。
- 有資格者が在籍しており計量証明書を発行できる業者を選ぶ
- 分析コストを比較する
- 排水処理までサポートしてくれる
それぞれを詳しく確認していきます。
有資格者が在籍しており計量証明書を発行できる業者を選ぶ
水質分析を請け負っている企業は数多くあるため、ホームページに以下が記載されているかどうか確認してみましょう。
- 環境計量士(濃度関係)が在籍している
- 法的に認められた計量証明書を発行できる
計量証明書を発行できる期間は、環境測量士が在籍している企業に限られます。
また、計量証明書は法的に正式な証明書として認められており、役所への提出時にも必ず受理されます。そのため、計量証明書を発行できる業者を選ぶことは非常に重要です。
対応コストを比較する
業者によっては「pHとSSはセットで分析」や「生活環境項目は全て分析」のように、分析項目を自由に選べず、分析費用が高額になる場合もあります。そのため、水質分析を依頼する際は、必要な項目だけ分析を依頼できる業者を選ぶのがおすすめです。
排水処理までサポートしてくれるか確認する
仮に排水基準を超える項目があった場合、役所から改善要求を受けることになるため、その際はスムーズな対応が求められます。
あくまで水質分析業者のメイン業務は依頼された項目の数値報告ですが、その先にある排水処理の改善提案までトータルでサポートできるかどうかは事前に確認しておきたいポイントです。
水質分析でお困りであればミズサポまでご相談ください
水質分析は特定施設を持つ工場では必須であり、役所対応も考えると、安心して任せられる業者に委託できるかどうかがスムーズに業務を遂行するポイントとなります。
自社で水質分析業者を選ぶのが難しい場合は、お気軽にミズサポまでお問い合わせください。
ミズサポは、水質分析を一項目から柔軟に対応しており、計量証明書の発行や排水処理の改善提案まで、一貫してサポートできるのが強みです。分析から改善までお客様と伴走させていただきます。