難分解性CODの処理は難しい?排水処理方法をわかりやすく解説
「生物処理をしているのに、CODの数値が下がらない…。」とお困りではありませんか?
CODとはChemical Oxygen Demandの略で、水の汚れを表す指標です。CODの数値が下がらないのは、もしかすると難分解性CODの影響かもしれません。
こちらでは難分解性CODの概要や処理方法について、わかりやすく解説していますので、処理にお困りの方は必見です。
目的
難分解性CODとは?
CODのうち微生物の働きを利用する生物処理によって分解できない成分のことを難分解性CODと呼びます。
代表的な例は金属加工工場から出る切削油やクーラント液を含んだ排水です。これらは凝集や減圧蒸留で処理しますが、難分解性CODは取り除きにくく、排水処理の基準を満たせないことが多々あります。
難分解性CODかどうかを調べるためには「BOD÷COD」を計算したB/C比で調べる方法があります。
B/C比 | 目安 |
0.5以上 | 生物処理で対応できるレベル |
0.3~0.5 | やや難分解性CODが多い |
0.3未満 | 難分解性CODが多い |
上記はB/C比による難分解性CODの目安です。例えば、1リットルの排水にCODが1000mg、BODが300mg含まれているとすると、B/C比は0.3となります。排水全体としては有機物が多いですが、生物処理しやすいBODの割合が少なく、難分解性CODが多く含まれているイメージです。
まずは自社から出る排水の特性を確認して、難分解性CODが多く含まれているか確認しましょう。自社での分析が難しい場合は、ミズサポまでご相談ください。
通常のCODのことは以下の記事でも詳しく解説しています。
参考:CODとは?BODとの違いや排水基準、低減させる方法を解説
難分解性CODの排水処理方法
生物処理で対応が難しい難分解性CODは、以下の方法で排水処理が可能です。
- 凝集処理
- 膜処理
- 減圧蒸留
- 生物処理(BODが高い場合に併用する)
ただし、難分解性CODは上記の処理方法単独では排水基準を満たせないことも多く、それぞれを組み合わせることが一般的です。
凝集処理
難分解性CODがSS(浮遊物質量)など固形物由来であれば、凝集沈殿法で数値を低減できます。凝集処理とは、凝集剤という薬品を使うことで、水中の汚れを固形化させて取り除く物理的な方法です。
凝集処理については、以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。
参考:排水の凝集処理とは?処理の流れや事例をわかりやすく解説
膜処理
凝集処理で除去できるSSは粒子径が1μm~2mmであり、1μm以下の難分解性CODは膜処理という別の物理処理であれば除去が可能です。
膜の種類 | 除去できる粒子径 |
MF膜 | 約10μm~0.1μm |
UF膜 | 約0.5μm~1㎚ |
RO膜 | 約10㎚~0.1㎚ |
上記は3種類の膜とそれに対応した粒子径の表です。排水を膜に通すだけで安定して難分解性CODの除去ができますが、経年劣化で目詰まりを起こす可能性もあるので、定期的なメンテナンスが欠かせません。
膜処理については以下の記事でも詳しく解説しています。
参考:排水処理の膜ろ過とは?3つの種類や相談できる企業を紹介
減圧蒸留
難分解性CODがSSなどの固形物ではなく水に溶け込んでいる場合は、凝集処理などで処理しきれない可能性が高くなります。そこで登場するのが減圧蒸留という方法です。
減圧蒸留とは、装置内の圧力を低くして液体の沸点を下げる処理方法であり、難分解性CODと水を効率的に分離させます。溶解性の物質であっても、水よりも沸点が高ければ分離できるため、難分解性CODを効果的に低減できる処理方法です。
減圧蒸留は、以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
参考:減圧蒸留を活用した排水処理とは?処理の特徴や装置について解説
生物処理(BODが高い場合に併用する)
難分解性CODとBOCの両方が含まれている排水は生物処理が必須です。生物処理では微生物の働きを利用して、最終的に水と二酸化炭素に分解するため、BODの数値を低減できます。
しかし、難分解性CODは生物が分解できないため、前述した凝集処理や膜処理、減圧蒸留で、排水基準を満たすように処理しましょう。
参考:排水処理における生物処理とは?4つの方法や具体的な事例を解説
難分解性CODの処理にお困りであればミズサポにご連絡ください
難分解性CODは一般的なCODとは異なり、生物処理で数値を低減できない厄介な存在なため、必要に応じて凝集処理や膜処理、減圧蒸留を行う必要があります。
もしCODを低減できないとお困りの方は、ミズサポまでご相談ください。難分解性CODの除去は処理量や諸条件によって処理方法が変わるため、お客様での選択が難しい場合もあります。
ミズサポでは、お客様の現状をヒアリングして、最適な処理方法をご提案いたします。