流せる基準値は?

流せる基準値は?

■前の記事「出てくる廃液の量と有害物質は?」はこちら

前回の記事で、排水処理した水は川や海などの公共用水域もしくは下水道に流すことがわかりました。排水処理設備を導入するにあたり、最後の確認事項は「流せる基準値」の確認です。

工場が流せる基準値は、水質汚濁防止法または下水道法で定められています。注意しないといけないのが、工場がある地方自治体によって流せる基準値が異なるということです

本記事では排水の基準値や確認方法についてわかりやすく解説します。

工場が流せる基準値は?

工場が流せる基準値は大きく分けて以下の3種類があります。

  • 国が定める一律排水基準
  • 地方自治体が定める上乗せ基準
  • 地方自治体が定める横出し基準

それぞれの概要を確認していきましょう。

国が定める一律排水基準

特定事業場には水質汚濁防止法が適用されて、1日50m3以上の排水があるもしくは排水に有害物質が含まれる場合、排水基準に収まるように処理が必須です。

一律排水基準は、国が定める排水基準です。1Lの排水に含まれる対象物質の量を決めたものであり、工場が流せる基準値のベースとなります。

後に解説する地方自治体による上乗せ・横出し基準が定められていない場合は、この一律排水基準の遵守が必要です

対象物質は28種類の有害物質と15種類のその他項目(生活環境項目)に分かれています。詳しくは以下の環境省のサイトをご確認ください。

参考:環境省「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」一般排水基準

地方自治体が定める上乗せ・横出し基準

地方自治体が定める排水基準には上乗せ基準と横出し基準の2つがあります。どちらも国が定める一律排水基準とは別に、地方自治体が独自で設定するものです

  • 上乗せ基準:一律排水基準と同じ対象物質で基準を厳しくしたもの
  • 横出し基準:水質汚濁防止法で対象外となっている物質や業種に対して定めるもの

■上乗せ基準の例

カドミウムの一律排水基準は0.03mg/Lですが、地方自治体によっては0.003mg/Lとより厳しく設定されている場合があります。

■横出し基準の例

一律排水基準では1日あたりの排水量が50m3未満であれば、BODやCODなどのその他項目(生活環境項目)には排水基準が適用されませんが、地方自治体によっては50m3未満でも適用される場合があります。

工場が流せる基準値の確認方法

国が定める一律排水基準よりも、地方自治体が定める上乗せ基準や横出し基準が優先されるということをまずは覚えておきましょう。つまり工場が流せる基準値を確認する場合は、地方自治体への確認が必要です。

地方自治体のホームページには、必ず水質汚濁防止法の排水基準について記載があります。例えば、富山県に工場がある場合は、「富山県 排水基準」と検索すると以下のサイトが一番上に表示されます。上乗せ基準や横出し基準についても記載があるので、確認しましょう。

参考:富山県「水質汚濁防止法の排水基準」

流せる基準値がわからない場合

工場が流せる基準値については、地方自治体のホームページを確認すればわかりますが、色々な情報が入り乱れているため、わかりにくいかもしれません。流せる基準値がわからない場合は、ミズサポにお問い合わせいただければ、地方自治体への問い合わせから対応いたします。

ここまで5つの記事で、排水処理設備を導入する前に確認すべきことを確認してきました。排水処理設備が必要となった場合は、ミズサポまでお問い合わせください。お客様にとって最適な排水処理設備をご提案します。

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